[ウメ]暮らしの中の松竹梅 〜 梅のお話|梅|エバーグリーン

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歳寒の三友

中国では古くから歳寒の三友といわれる松竹梅、日本ではおめでたいものの喩(たとえ)とされています。その松竹梅の中で「梅の存在」は一体どのような役割が有るのだろうかと思ったので少々探索してみることにしました。

梅といえば、多くの草木花がじいっと耐え忍んで活動を控えている厳寒の頃に、凛として愛らしい花をたくさん咲かせます。辺りを良い香りで包み込み、寒さに縮こまっている私たちの心を魅了する早春の花木です。そして初夏にはきれいな緑色の果実を実らせて、多くの人に喜ばれ利用されます。まったくもって、「花良し、香り良し、果実良し」と三拍子揃った植物なのです。

また、ソメイヨシノが盛んにお花見をされるようになる前は、梅見をするのが主流だったのだそうです。厳しい寒さが少しずつ和らいでくる頃に咲き揃う梅の花を観て、当時の人々はもう直ぐ訪れる春の日を待ちわびて梅の花に心を躍らせていたのでしょう。2月を梅見月と呼んだほど、梅は人気の花だったのですね。

 

私は狭苦しい下町で暮らしていますので、滅多なことでは咲き誇る梅の花など目にすることのない日常ですが、梅の花にまつわる話を調べていたら、梅見をしに出かけたくなりました。

少し時期的には遅くなってしまいましたが、送梅という言葉もあるくらいです。咲き終わる梅を観に行くのも悪くないと思い、どこに出かけようか探してみました。
まずは皇居の東御苑の中にある「梅林坂」、もう1か所は亀戸に3社ある香取神社の「小村井香梅園」。どんな梅に出逢えるのか期待に胸を弾ませて訪ねてみることにしました。

 

梅林坂

皇居東御苑の「梅林坂」の梅の木は、本数こそ多くはありませんが、きれいに手入れされていて、坂道の両側から道行く人を本丸へと誘います。小さな花の1輪1輪にどこか気品があるようで、しばし心を奪われました。木々の足元には勢いよく群生するフキノトウが顔を上げ、梅の花と一緒になって春の訪れの歌を私に聴かせているかのようで、とても心地良い散策となりました。

皇居東御苑・梅林坂

皇居東御苑・梅林坂

皇居東御苑・梅林坂の梅

皇居東御苑・梅林坂の梅

 

小村井香梅園

亀戸にある「小村井香梅園」は、小さいながらも珍しい品種の梅の木の数々が、その魅惑の姿を披露してくれています。私がこの梅園を訊ねた日はあいにく雨降りとなりましたが、写真撮影をされていた男性に話しかけてみると、「いろいろな場所へ行っているけれど、ここの梅が一番素晴らしい」と言っておられました。この場所には、また来年、今度は賞梅の頃にぜひ訪れてみたいと思いました。

亀戸・小村井香梅園

亀戸・小村井香梅園

 

陰暦5月(現6月)は皐月(さつき)ともいいますが、梅月という呼び方もあります。梅の花が果実となる収穫の時期です。機会がありましたら、梅の実についても書いてみたいと思います。
(山口マユミ)


皇居東御苑・梅林坂の梅