七草の由来とされる山上憶良が詠んだ和歌の一つに
萩の花 尾花(おばな) 葛花(くずばな) 撫子(なでしこ)の花
女郎花(おみなえし) また藤袴(ふじばかま)
朝貌(あさがお)の花
があります。
歌の最初にハギの花が登場するように、万葉集で最も多く詠まれている植物といえばハギなのです(142首)。春の七草は食することがテーマであるのに対し、秋の七草は眺めて楽しむことがテーマでした(薬効のある植物をあつめ、食することをテーマにした新秋の七草も登場しています)。
ハギは、荒れ地に真っ先に生える植物の一つであるため、パイオニア植物ともいわれています。なぜ、痩せた土地でも育つことができるのでしょうか。その秘密は、ハギの根にあります。ハギはマメ科の植物ですから、他のマメ科の植物と同じように、根には根粒菌が共生しています。根粒菌は、植物から栄養をもらいつつ、窒素を作り出し植物に栄養を供給してくれます。そのため、ハギは、日差しがあれば、痩せた土地でも育つことができるのです。
これは、育てる側から見れば、肥料がいらないということになります。つまり、日当たりがよく水はけが良い場所で栽培するだけで、ほとんど手がかかりません。ハギは種から育てることもできますが、種はほとんど販売されていないので、苗から育てるのが一般的です。古い枝には花が咲きませんから、晩秋に落葉したら、バッサリと枝を刈り込むと良いようです。
草冠に秋と書くハギ。文字通り、秋に欠かせない花の一つといえるでしょう。ぜひ、風に揺れるハギの花を眺めて、秋の深まりを感じてみてください。
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(エバーグリーン編集部 愛垣)
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