8月8日はいちばん記念日が多いのだとか
今年(2023年)の8月8日は「立秋(りっしゅう)」。この日を境に少しずつ秋へと向かうそうです(本当かなぁ~)。そして、8(パチ)8(パチ)の語呂合わせでソロバンの日、あるいはパチンコの日。さらに、漢字の八は髭に似ているからヒゲの日、屋根の日。8本足のタコにちなんでタコ(蛸)の日(タコ焼きの日)、8の見た目からか白玉の日、そして、ヒョウタンの日なのだそうです。というワケで、今回は瓢箪文についてです。
食用千成ヒョウタンは食べることが可能ですが、一般的なヒョウタンには毒性があります。
縁起物の代表、ヒョウタン
ヒョウタンは、その形が末広がりなので昔から縁起が良いもののひとつとされてきました。また、3つで「三拍(瓢)子そろって縁起良し」、6つ揃えば「無病(瓢)息災」という語呂合わせも知られています。さらに、ウリ科のツル性植物のヒョウタンは、ツルが広がり絡みつくことから商売繁盛。果実が鈴なりに実りタネが多いことから子孫繁栄、多産にもつながるとされています。
そのほか、木下藤吉郎(のちの豊臣秀吉)が、稲葉山城が落城したことで、織田信長がヒョウタンを馬印にすることを許可。その後、秀吉は戦に勝つ度に馬印のヒョウタンを増やし、秀吉の馬印のことを、千成瓢箪と呼びます。その結果、瓢箪文には武運長久、必勝、出世などの意味があるとされます。また、ヒョウタンは昔から薬入れに用いられたことから、医療の象徴にもされ病気治癒、災難厄除けに役立ち、玄関や窓辺に飾れば悪い気を封じることにも役立つとされているそうです。
しかしながら、筆者所有の着物や羽織の中には瓢箪文の文様は少なく、羽織裏でしか目にすることはできませんでした。ただ、ネット上で瓢箪文を検索すると、男性の着物や帯、あるいは女性の訪問着、袋帯などで見ることもでき、家紋では瓢(ひさご)紋として知られていることから比較的ポピュラーな文様の一つなのかも知れません。
日本でも「瓢箪には神霊が宿る」、邪気を吸い込み空気を浄化するとされ、除災招福のお守りや魔除けとしても知られています。
円形に6つのヒョウタンがツルと共に描かれています。
ヒョウタンは生薬?
ヒョウタンは北アフリカ原産とされ,古代から世界中で栽培されています。花は白色で雌雄異花、夕方に開き翌日の午前中にはしぼみ、干瓢(かんぴょう)の原料として知られるユウガオとは変種の関係です。果実は毒性で、食べると唇の痺れや嘔吐、腹痛などをおこすとされています。しかし、ネパールでは花をペースト状にして切り傷に用いるとか。
ヒョウタンの果実は利用価値あり
果実はヘタに穴を空け、中身をかき出し、その後水に漬けこみ果肉を腐らせ洗浄。乾燥させてから水筒として利用されるほか、楽器や工芸品などにも使われてきました。
(植物文様研究家 藤依里子)