植物図鑑
ユウガオ
ヒョウタン属
ユウガオ
学名:
Lagenaria siceraria var. hispida
〔基本情報〕
つる性の一年草。
茎は地を這って長く伸び、20m以上になることがあります。
葉は互生する単葉で、心形、葉の縁は浅く掌状に裂けます。
花には雄花と雌花があり、ともに白色で、花冠の先は5裂し、夕方に開いて翌日の午前中にはしぼみます。
実の形によって細長いものをナガユウガオ、丸いものをマルユウガオと区別します。
〔来歴〕
北アフリカまたはインド原産とされます。
栽培の歴史は非常に古く、紀元前12世紀の中国の遺跡、東南アジアや中央~南アフリカ、エジプトの遺跡などから出土しています。
日本でも縄文時代の遺跡から出土しています。
『源氏物語』や『枕草子』などに登場します。
現在栽培されている品種に近いものは1532~55年の天文年間に中国から渡来したものです。
〔利用〕
おもにマルユウガオの若い果実の果肉を帯状にむき、乾燥させたものが「かんぴょう(干瓢)」です。
果実はヒョウタン同様、果肉や内側の綿などを取り除いて乾燥させ、容器としても用います。
〔栽培〕
日当たりと水はけのよい、中性~弱アルカリ性の土を好みます。
育ちやすい気温は25~30度です。
実が大きくなる時期は水を必要としますが、地植えの場合、よほど乾燥しないかぎりは潅水の必要はありません。
水を与えすぎると葉が茂りすぎたり病気の原因となります。
植えつけには畝幅1m、株間70~80cmは必要です。
本葉が6~7枚のころ摘芯し、子づるの発生を促します。
子づるが伸びてきたら、生育のそろったものを3~4本を選んで残します。
子づるは栽培面積により、適宜配置しなおします。
つるが地面に接していると病気が発生しやすいため、つるが伸び出したら、敷きわらをして、泥のはね返りや地温の上昇を抑えます。
孫づるは3~4本くらいを残すのみにします。
雌花が咲いたら、人工受粉をします。
果実が野球のボール大になった頃に、形のよいものを残して、1枝あたり1個に摘果します。
着果後は肥料切れをおこさないよう、追肥を施します。
病虫害として炭そ病、アブラムシなどがあります。
〔備考〕
食用としない品種には食中毒の原因にもなるククルビタシンという苦み成分を多く含みます。
また、食用とする品種でもまれにククルビタシン含有量が多い株が出ることがあるため、苦味を感じた場合は食べるのを避けるようにします。
花が夕方に開花し、翌朝しぼむためアサガオ、ヒルガオに対してつけられた名です。
ヒルガオ科のヨルガオがユウガオとよばれることもあるため混同されます。