古木、巨木、名木に出会える水戸の旅
都内からめちゃくちゃ遠い……と思っていた茨城ですが、常磐線を使えば日暮里から水戸までは乗り換えなし約2時間で到着。「えっ、こんなに近いの!?」と正直驚きました。都内を抜け、山、山、田んぼ、田んぼの車窓を満喫しつつ向かった場所は水戸八幡宮。筆者が訪れたこの日はアジサイ祭り、夏越の大祓式として「茅の輪くぐりの神事」が行われていました。
水戸八幡とは
茨城に伝わる水戸八幡の民話によると、江戸の神田明神のお祭りに、神田佐久間町でイザナギ・イザナミの二柱が天の浮橋に立つ姿の美しい花車がありました。みなその美しさに目を奪われるほどでしたが、その祭りの夜に佐久間町が大火事になってしまいました。
そのため佐久間町の人たちはその花車を深川のある町に売り、美しい花車は富岡八幡のお祭りに出したのですが、出した町内でまた火事が起こってしまいます。そこでこの花車、今度は水戸馬口労町(今の末広町)へと譲られ八幡さまのお祭りに出すと、その夜に火事がまた起きてしまいます。町内の人は「これはいったいどういうことか」とその因縁を調べたところ「イザナギ・イザナミの神さまを花車に乗せて引きまわしたりするからこんなことになるんだべ」ということになり、結果、花車は八幡さまに奉納され、境内には火伏せの神様として「鎮火之神二神宮」というお社が建てられました。
その後、太平洋戦争の空襲で水戸の町は一夜にしてほとんど焼けましたがこの八幡宮は難をのがれて無事だったのです。そのため、この水戸八幡神宮にはご神木、巨木、古木を見ることができるのです。
烈公御涼所のケヤキ
ご神木ではありませんが、まず名木として昭和25年県指定をうけているケヤキを紹介します。このケヤキは9代水戸藩主、徳川斉昭公がお涼みになった場所にあり、那珂川の涼風が吹き上げる朝日御来迎の御聖地とされている場所にありました。境内からは少し離れていますので看板にしたがっていかれるといいでしょう。
ご神木の御葉付公孫樹
ご神木のイチョウは国指定天然記念物になっています。和歌のなかでも「八幡なる神の社の御葉付の公孫樹のごとく千代に栄えむ」と詠まれ、その樹齢800年、樹高42m、幹周り9mという巨木です。その名の由来は、稀に葉先に実を生じるところからなのだとか。また、往古、遣唐使が持ち帰った5本の一つと伝えられています。また、安産、無事成長、延命長寿、縁結びのご利益があることも知られています。そのほかにも境内には樹齢200年になるヒイラギなどもありました。
アジサイ祭りも!
筆者が伺った6月某日はアジサイ祭り。美しいアジサイを見ることもできました。
そして、水戸駅から水戸八幡神社まで行くなら、駅近くで販売されている周遊バスの1日券400円が便利でお得です。
- 『水戸八幡宮』:茨城県水戸市八幡町8-54
(グリーンアドバイザー、開運植物文様研究家 藤依里子)