低木で草の名前が付く「チョウノスケソウ」を紹介します。バラ科チョウノスケソウ属の小低木で、落葉しません。北海道と本州の高山帯に分布し岩場に群生しますが、南アルプスと北アルプス・八ヶ岳・北海道に限定されます。
名前の由来は、ロシア人植物学者マキシモヴィッチの助手を務めていた須川長之助氏が初めて採集したからです。写真のように茎はやや匍匐(ほふく)して群生しますが、高さは30cm以下です。葉は硬く長さ1~2cmの卵状楕円形で、先は尖らず丸味を帯びます。縁は浅く裂けており、裂片の先は尖っており、その裏面は綿毛に被われています(寒さ対策ですね!)。
側脈は6~8で葉の表面は凹んでいます。葉柄は長さ5~20mmです。花期は7月上旬~8月中旬で、茎の先に1個つきます。花柄は長さ3~10cmです。花弁は8~9枚で、長さは10~15mmの倒卵形です。色は白色または黄白色。雄蕊は多数です。
そう果は長さ約3mmですが白毛があります。上の写真は、花後に花柱が3cmほどに伸びて、それに白い長毛が羽根状に付いている状態です。
標高3,000mを超える厳しい環境で可憐な花を見ると、新たな元気がもらえます(ツンドラ地帯でも生育するとか)。また、葉っぱやそう果の手触りも独特なので一度試してみてください。
(山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))
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