今回は「オオカメノキ」を紹介します。別名は、ムシカリです。
レンプクソウ科ガマズミ属の落葉小高木で北海道から九州に分布し、山地上部から亜高山帯に生えます。「オオカメノキ」は葉の形が亀の甲羅に似ていることから、また「ムシカリ」は葉がよく虫に食われることから名が付いたとされます。
花期は5~6月で、そばを通ると微かな香りがします。中央にかたまった白色の小さな両性花群と、その周りの大きな装飾花(直径は約3cm)で形作られています。花が散り7月下旬頃には緑色の実が確認でき、徐々に大きくなっていきます。
果実は成長すると長さ7~10mmの広楕円形になりますが以下の写真にあるように、はじめは赤くなりその後黒く熟します。赤い実は鳥たちが好んで食べます。鳥たちが運んだ種が運良く芽を出し生き残ると、次の世代のオオカメノキになるのでしょうね。
鳥たちが食べ残して黒く熟した実は、けっこいおいしいです。お客様の感想は、「干し柿の味に似ておいしい!」「経験したことのない味だが、おいしくてビックリした」というものが多いです。
若枝や葉の表裏と葉柄および花などに細かな星状毛が付き(そのうちになくなるのもあり)ますので、触感も独特です。葉は柔らかで表裏の手触りの違いも確認できます。
オオカメノキは、私たちが行なっている森林セラピーでは貴重な樹木の一つです。
風が吹くと葉音も聞くことができるので、五感すべてをくすぐってくれますよ!
(山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))
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