イワカガミはイワウメ科イワカガミ属の常緑多年草です。北海道から九州まで分布し、山地の岩場や高山の草地に生えます。山梨県内の標高の高い山では、必ず出合える山野草です。
花・葉・全体の大きさや葉のギザギザなどでイワカガミとコイワカガミとに細かく分類することもあるようですが、私には明確な区分けは難しいので、イワカガミに統一しています。あえて分類するとすれば、標高1,500mを超える高山のイワカガミはほとんどが小振りなものなので、紹介の写真すべてがコイワカガミと言えるかもしれません。
私自身が「イワカガミ」の花と出合ったのは、西は氷ノ山(兵庫県)から北は山形県と秋田県に跨る鳥海山までの広い範囲に及んでいます。もちろん白山や北アルプス連峰、八ヶ岳などでも見られます。花の時期が合致しなかったその他の山でも葉っぱを確認していますので、日本全国の山々に生息しているようです。
驚きだったのは、標高3,192mの北岳山頂にこのイワカガミが咲いていたことです。山頂よりも下のところどころに生えているのは確認していましたが、3度目の登頂で確認することができました(長時間山頂に留まっていたのが幸いしたのでしょう)。北岳は例年6月下旬が山開きなので、そのころは標高2,000m前後よりも高い斜面などで咲き出します。それより低い登山道でも葉は見かけますが、6月中旬以前に花が咲くか否かは不明です。入山できる時期だけでも、垂直距離で1,000m以上も同じ花を見ることができるのは凄いですね! 力強い生命力を感じます。
このイワカガミは水捌けの良い急斜面や岩の裂け目などに生えており、急勾配の道を登り切った後の疲れた身体や“キツい!”思いを吹き飛ばして元気にさせてくれます。がんばったことへのすばらしいご褒美だと、いつも感謝しています。
(山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))
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