[カキドオシ]地を走り、垣根を突き抜くカキドオシ|シソ科カキドオシ属|エバーグリーン

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カキドオシ

カキドオシ

 

日当たりとほどよい湿り気のある畑や庭の隅、道路脇などで見られる、地を這うように広がっていくザッソウです。繁殖力は旺盛で、つる状の茎は障害物があっても止まることなく乗り越えスキマがあれば突き抜けていきます。

そこで付いた名前がカキドオシ、垣根を通り抜けて伸びるという意味です。春に花が咲く時期はまだおとなしいのですが、花が咲き終わったあと、待っていましたといったふうにぐんぐん茎を長く伸ばします。その姿は地を走るようです。

あたり一面を埋め尽くすというより、できるだけ遠くまで茎を伸ばすことに力を入れているような気がします。言い換えれば、面の支配というより線と点の支配でしょうか(わかりにくい……)。名前の通り垣やフェンスを突き通って、こちらからあちらへ。放っておくとおとなりさんの敷地に侵入して迷惑をかけることも。

カキドオシの花

カキドオシの花

 

一番見つけやすいのは花の咲いている4月~5月ですが、期間はさほど長くありません。筆者の住んでいる京都では例年通りなら4月中頃が花どきです。シソ科でよく見られる先端が開いた筒状の唇形花で色は淡い紫色です。茎が立ち上がって咲くので(といっても高さ10cm~20cmくらいですが)比較的目に付きやすいです。

葉っぱは円形で縁はポコポコとした波型になりかわいらしいです。特長のあるようなないような形ですが、おぼえやすいのではないでしょうか。葉を軽くもむと微妙にさわやかなミントをイメージさせるような香りがします。よい香りかどうかは個人差があると思います(筆者は好きなほうです)。

カントリソウという別名があります。これは葉を煎じて用いると、子供の疳(かん)に効くところからきています。漢字を当てると「疳取草」となります。ほかにも、糖尿病や腎臓病、湿疹などにも効くそうです ※1。

煎じて飲むということで、お茶みたいなものでしょう。ためしにネットで「カキドオシ茶」を調べてみたら、検索結果がたくさん出てきました。身近なザッソウあなどりがたし、です。それだけ体によいのか飲んで美味しいのか、興味があります。

園芸店などに出回るグレコマ

園芸店などに出回るグレコマ

 

園芸では同種で葉に斑の入るものが学名である「グレコマ」の名前で出回ります。カキドオシと同じかわいらしい葉姿ですが、生育旺盛なところも同じです。鉢植えにしていても線と点の戦略で外に茎を伸ばして、地面に接すると根を下ろします。いつの間にか鉢内よりも逃げ出したほうが元気に育っているなんてことが、あったりするかもしれません。

※1 柏書房刊 自分で採れる 薬になる植物図鑑 2006

 

ヤサシイエンゲイ 小林昭二)

 

カキドオシ