今回は、早春いちばんに咲く「マンサク」を紹介します。『先ず咲く』からその名が付きました。マンサク科マンサク属の落葉小高木で、北海道南部、本州、四国、九州の丘陵地から山地帯の林内でふつうに見られます。
マンサク属には日本原産のマンサク、中国原産のシナマンサク、また赤い花弁のアカバナマンサクなどがあります。またマンサクとシナマンサクの交雑種もしばしば栽培されています。
マンサクの樹高は2〜5mで、ときに10m以上にも達するものもあります。花期は2月中旬から4月下旬ですが、高地や緯度の高い地方では5月まで見ることができます。写真にあるように、葉に先立って花序軸の先に2〜4個の黄色い花を付けます。花弁は長さ10〜13mmの線形で、雄蕊はきわめて短く、よく見ないとわからないほどです。
厳しい寒さが和らぐころ、この明るい黄色い花に出あうと“春近し!”を感じます。動植物など自然の動きや変化が目立つ季節になっています。
花の香りは弱いので、顔を近付けて香りを確認します。花が散って葉が成長すると、触覚が楽しめます。若枝や葉柄および葉の両側に星状毛が散生しており、独特の肌触りです。
また、葉の縁は波状の鋸歯になっていて葉脈がハッキリしているので、手触りがおもしろい樹の一つです。「マンサク」の花を愛で、枝や葉に触れることで春いちばんの自然が味わえます。方言“まんず咲く”にちなんで、早い春を感じてみてください!
(山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))
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