南アルプスの特産種の「シラネヒゴタイ」を紹介します。
キク科トウヒレン属の多年草で、ヤハズヒゴタイの仲間です。南アルプスの標高2,000mあたりの裸地(らち)に生えます。写真は、北岳稜線で撮影したものです。
名前にある“シラネ”は、白峰三山の白峰です。茎の高さは10~20cmです。葉は互生しますが、上2枚の写真にあるように濃い緑色で深く切れ込んでいるのが特徴です。花期は8月〜9月上旬で、径10mmの頭花が1〜5個、茎の頂部に付きます。
ヤハズヒゴタイの高山型を『タカネヒゴタイ』といいますが、特に葉の緑色が濃く縁が深く裂けているものを白峰三山にちなんだ「シラネヒゴタイ」と区別しています。(分類についてはいくつか見解があります。)タカネヒゴタイは葉の色や質がヤハズヒゴタイに近く、縁が鋸状になっています。
下の写真はヤハズヒゴタイですが、茎の高さが30~55cmになるので一目瞭然です。葉の縁は小さな鋸歯になっています。
当初から北岳で出あうのはタカネヒゴタイだと思っていましたが、シラネヒゴタイもあるのがわかったのは、山小屋で両方の写真を見てからです。高山のその場所にあった進化をする植物の知恵、なのでしょうね!シラネヒゴタイは小さな変った花ですが、進化の様子をじっくり観察したり、花や葉にそーっと触れて確かめてはいかがでしょうか?
(山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))
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