今回は、鮮やかな青紫の「イワギキョウ」を紹介します。
キキョウ科ホタルブクロ属の多年草で、高山の砂礫地などに生え、本州中部以北から北海道に分布し、千島、樺太からアリュ-シャン、アラスカに至ります。写真のように厳しい環境に耐える姿は、登山者に元気と勇気を与えてくれます。
根茎は横に這い、よく分岐します。根出葉は束生し、長さ2〜4cm、幅0.5〜1cmの被針形か倒被針形をしており、先が丸く基部は狭くなって柄になります。厚みはありますが草質で光沢はあまりありません。茎は高さ5〜15cmで小型の葉を付け、頂部に1個花が付きます。
花期は7月中旬〜8月ですが、北岳では8月が真っ盛りです。萼に粗い毛が多く、萼裂片には歯牙があります。花冠は鐘形で青紫をしており、長さ2〜2.5cmで、先は5つに裂けます。花冠内面や裂片には毛がありません。斜め上向きに花が開き、チシマギキョウ(下の写真:横向きから俯き加減に開く)との違いがよくわかります。
イワギキョウとチシマギキョウは、分布や生える環境、時期が同じで見た目もよく似ています。花の開く向きの違いのほかには、チシマギキョウのほうが花が大きい(花冠長さ3〜4cm)、根出葉に光沢があるなどがあげられます。
両方とも同じような場所で見かけますので、呼吸を整える機会を兼ねて、違いを観察してみてはいかがでしょうか!? 花や葉に触れたり、風に吹かれ揺れる花を眺めながら、「より元気が貰えるのは、自分ならどっちか?」を確かめてみるのもおもしろいかも知れません。
(山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))
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