今回紹介するヒメウズは「撮影者泣かせ」のザッソウです(個人の意見です)。
オダマキに似たかわいらしい花はついカメラに収めたくなります。が、びっくりするほど小さく、なかなかピントが合いません。風でも吹こうものなら、揺られてぶれて、もう絶望的です。そういう意味で「撮影者泣かせ」なのです。
しかも下向きに咲くので正面から花を撮影しようとすると、這いつくばるような姿になります。まあ、これに関しては植物の撮影者がよくとる姿勢なので気にはなりませんが。
閑話休題。ヒメウズは春の始めから終わりまで見られるザッソウです。樹木の下や草むらのなかなど、湿り気のある半日陰の場所に自生することが多いです。住宅街の道端で見ることもあれば、山麓にある神社の境内で見かけることもあります。控えめでほっそりとした姿は繊細な雰囲気もあり、ザッソウより山野草と呼んだ方がよいかもしれません。
冒頭でも述べましたが、見た目がオダマキにソックリです。花や葉の形、全体の見た目などオダマキを小型にしたようです。はじめてみたとき、これはオダマキの仲間かな? と直感で思ったほどです。基本的にはヒメウズ属に分類されますが、オダマキ属に含める説もあるくらいなので、間違っているとも言い切れません。
花の大きさは5mm前後と非常に小さいのですが、じっくり見るとなかなか凝ったつくりです。
真ん中の雄しべと雌しべを囲むように淡い黄緑色の花びらが並び、その周りにごく淡い紅色(ほぼ白色)の萼が星形に付きます。葉は三出複葉でやや青みがかった緑色に見えます。
漢字を当てると「姫烏頭(ひめうず)」となります。「烏頭」はトリカブトの漢名で、トリカブトに似ていて小型なので、小さいという意味の「姫」を冠してこの名があります。
実際、葉形は似ていなくもないですが、花姿はまったく異なります。有毒植物で、葉や茎を切った際にでる汁に触れるとかぶれるおそれがあるので、観察の際は気をつけましょう。
(ヤサシイエンゲイ 小林昭二)