今回は萼片(がくへん)の付いた実が、羽根突きの衝羽根(ツクバネ)に似ていることからその名がついた「ツクバネウツギ」を紹介します。
スイカズラ科ツクバネウツギ属の落葉低木で、高さは2mになります。
本州(東北地方太平洋側・関東以西)から四国、九州北西部に分布します。
花は4月下旬〜5月に咲きますが、乙女湖ロードや周辺では5月に入ってからです。
実は9〜11月に萼片の下に付きますが、細長く緑色がかっており目立ちません。
ツクバネという落葉低木が存在しますが、ビャクダン科ツクバネ属で、写真のように衝羽根(ツクバネ)そのものです。この木はほかの木の根に寄生する半寄生植物であり、「ツクバネウツギ」とは異なる種類です。このツクバネも5月頃に咲きますが、花が緑色で小さいことから、ほとんど気付かれず見過ごされます。
最後の写真は成長した果実(10月ころ)ですが、初冬には丸い部分が黒く、羽根が茶色になり、正に羽根突きの「衝羽根」になるのです。
ほかのいろいろな「ウツギ」や、この「ツクバネウツギ」の花を見ると、春が来たという実感が湧いてきます。春に木の場所を覚えておいて、晩秋に少し変った「衝羽根」の実を確認するのも楽しいでしょう! 自然の営みの一つとしての新しい発見があるかも知れません。
(山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))
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