春が進んで気温が上がるにつれ、草花や樹木の花が競って咲きはじめます。
今回紹介する「ズミ」も5月に入ると花が咲き始めますが、「乙女湖周辺」では5月下旬からが本番です。
この花が咲くと、夏が近づいていることがわかります。
バラ科リンゴ属の落葉小高木~高木で、北海道から九州まで日本全国の山地の日当たりの良い湿地に生えます。幹は灰褐色ですが、小枝は赤褐色なので見つけやすいでしょう。ただし、短い枝には刺(とげ)状になっているものがあるので、触れる際は要注意です。
葉は長楕円形から卵状長楕円形で長さは3〜10cmあり、鋸歯(きょし)の縁になっています。花の下に隠れるので、花期になると葉っぱは目立ちません。
花は白く、蕾(つぼみ)は紅いので、紅白のコントラストが見事です。咲き始めは紅色を帯びていますが、白色に変わります。樹全体がたくさんの花で覆われたように見えますが、短い枝の先に径2〜3cmの花が4〜8個ほど付くため、密集したように見えます。
9〜10月には実が熟します。径が6〜10mmの球形で通常は赤くなります(ときどき黄色くなります)。別名、コリンゴ、コナシといいます。
ズミの大木の下や林のかたわらに寄ると、淡い独特の香りがします。また、日照時に葉や花越しに樹を見上げると、なんとも言い難い不思議な感覚が味わえます。
乙女湖ロードの樹はあまり大きくないですが、周辺の道路沿いで大きな樹や林を見ることができます。もし、それと思われる樹を見つけたら、ぜひ試してみてください。自然の持つ癒しに満たされるかも知れません。
(山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))
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