夏に元気な草花
夏は暑さで植物がバテてしまう季節です。そんな中でも気丈に育ち、きれいな花を咲かせ続けてくれる草花もいろいろとあります。身近なところでは、カンナ、ポーチュラカ、センニチコウ、トレニア、ヒマワリなどが挙げられるでしょうか。
今回は、夏に咲く草花の中でも特におすすめしたい、アンゲロニアを紹介したいと思います。
アンゲロニアの良いところ
- 暑い夏にこそぐんぐん育ち、花が絶えない
- 縦に伸びて、大きさの割に意外と幅をとらない
- 病害虫が少ない
などが挙げられます。もちろん花もキレイです。
こんな植物です
アンゲロニアは、あまり耳慣れない植物かもしれませんが、初夏から夏に苗や鉢花の形でホームセンターや園芸店で広く出回ります。花色は白やピンク、紫、青紫などで、茎の上部に多数咲き、穂状になります。単色のほか、白地に紫色の模様が入る可愛らしい花色のものもあります。花の形は口をぽっかり開けたようなユニークな姿です。
アンゲロニアは、メキシコ西インド諸島に30種が分布するオオバコ科(旧ゴマノハグサ科)の草花です。毎年花を咲かせる多年草ですが、中には花後に枯れてしまう一年草の種もあります。日本で普及しているのは、多年草タイプのアングスティフォリア種やサリカリーフォリア種とそれらの園芸品種です。寒さに弱く、防寒対策なしの花壇では冬の間にダメになってしまうことも多いです。
草丈は通常60cmから1mですが、30cmから60cm程度に収まるコンパクトな園芸品種もあります。むしろコンパクトな園芸品種の方がよく出回っている気がします。株元から茎をたくさん出して茂ります。横に広がると言うより、どちらかというと縦方向に伸びます。
育て方のコツ
日当たりの良い場所が好きですが、半日くらい日が当たれば充分育ちます。そういう点で、植栽できる場所の選択肢は広いです。
また、茎が長く伸びる割にはしっかりとしており倒れにくいので、基本的に支柱は立てなくても大丈夫です。花が一通り咲き終わった茎は適宜切り戻すとよいでしょう。
育てる上で一番のポイントは水やりと肥料です。湿り気のある土壌でよく育ち、乾燥を嫌います。土の表面が乾いてきたらたっぷりと水を与えます。肥料は花が咲き続けている限り、定期的に与えます。液体肥料なら10日に1回、株元に固形肥料を置いてもかまいません。固形肥料は肥料の持続期間や与える量が、商品によって違うので、記載されている注意書きを守って、適量をお使いください。
耐寒温度は10℃ほどです。翌年も楽しみたい場合は、室内やベランダの日当たりに移動させます。場所が確保できない場合、秋にさし木をして小さな苗を作り、室内に取り込んでも良いでしょう。
楽しみ方
アンゲロニアの縦に伸びる特性を活かして、背の低い植物と寄せ植えすると、全体に立体感が出ます。花壇に植える場合も同様で、前面より、真ん中から後面への植栽が適しています。鉢植えでもよく育ちますが、真夏は乾きやすいので気をつけましょう。
(ヤサシイエンゲイ 小林昭二)
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