今回は、山地の日当たりのよい草原に生える「サクラスミレ」を紹介します。スミレ科スミレ属の多年草で、北海道・本州・四国・九州に分布します。
写真にあるように、葉と花には垂直に立つ長い柄がついているのが特徴です。葉柄は5〜15cmになります。葉身は長さ3〜6cmの長卵形で縁は鈍い鋸歯となっており、葉先は鈍頭で基部は心形です。葉の表面や裏面の脈上に毛が生えています。
花の時期は4〜6月ですが、写真の場所は標高1,600〜1,700mの高地ですので、5月下旬からが見頃になります。花は淡紅紫色で直径2.5〜3cmあり、日本産のスミレではもっとも大きいです。花弁は5枚で幅広く、凹頭または円頭で長さ15〜20mmです。萼片は披針形(02&03写真)で、先は尖っています。花柄は7〜12cmの高さになります。
大きいので目に止まりやすい野草です。必ず名前を聞かれますが『サクラスミレです』と伝えても、すんなりと納得してくれる人は少ないです。『花弁の先端がサクラのように切れ込むことと華美な色をしていることなどが、和名のサクラスミレ(漢字で「桜菫」)の謂れとなっています』と付け加えることでようやく頷いていただきました。
それよりも、毛の生えている葉柄・花柄や葉などに触れた後、『フワフワした手触りが心地よい。初めての感覚かもしれない』など、触角に興味が湧いた人が多いです。花弁の形や色を確認してから、そーっと触れてみるのもおもしろいですよ!
(山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))