儚さの象徴とされるのはなぜ? 紫色の可憐な花を咲かせるツユクサ

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傘の出番が多いこの時期、水たまりを避けながら歩くため、どうしてもうつむきながら歩くことが多くなります。そんなとき、ふと目に入った青い小さな花、ツユクサ。雨に打たれて咲く姿を見かけることが多いので、私のイメージでは梅雨の花でしたが、調べてみると、実は秋の花として和歌や俳句に多く詠まれています。

 

色素をうまく活用

ツユクサ

ツユクサ

ツユクサは、ツユクサ科ツユクサ属の1年草。青色の小さな可憐な花は、朝早く咲いても日が高くなる午後にはしぼんでしまいます。また、ツユクサの花の色素は、水溶性で描いても水で洗い流すことができるので、友禅染などの下絵用の染料として使われています(主に変種のオオボウシバナが使われる)。もっとも、小さな花ですから染料として使うには大量に採らなければいけませんし、保存ができずその日のうちに使いきらなければいけないので、ツユクサを染料として使うのは容易ではありません。

 

万葉集でも詠まれたツユクサ

万葉集などでは、ツユクサの開花時間が短いこと、染料が水に落ちやすいことから、人の心変わりやこの世の命の儚さの象徴として詠まれているようです(古くは月草または鴨跖草として詠まれていました)。

 

月草に 衣は摺らむ 朝露に 濡れてののちは うつろひぬとも (万葉集 作者不詳)

月草を摺って染めよう。たとえ朝露に濡れて色があせてしまおうとも

朝咲き 夕は消ぬる 月草の 消ぬべき恋も 我れはするかも (万葉集 作者不詳)

朝咲いても夕方には消えてしまう月草のような恋を私はするのでしょうか

 

遠い昔の人が同じ季節に同じ花を見てあれこれ思いを巡らせいたと思うとなんだかとてもロマンチックですね。

ツユクサ

ツユクサ

 

 

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(エバーグリーン編集部 愛垣)


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