こんにちは。エバーグリーン編集部の愛垣です。
梅雨入り前の5月後半頃から、アヤメによく似た花菖蒲(ハナショウブ)が池や小川などの水辺を彩ります。どんよりとした天気が増える季節に、花を咲かせるこの花は、心を癒やしてくれる貴重な存在ではないでしょうか。
さて、花菖蒲はアヤメ科アヤメ属の多年草で、色や花の形などを組み合わせると約5,000種類、次の5つの系統に分けられるといわれています。
- 「江戸系」花菖蒲の草分け的存在
- 「伊勢系」三重県の指定天然記念物
- 「肥後系」肥後六花の一つ
- 「長井系」江戸中期以前から変わらず、最も原種に近いとされる
- 「外国系」海外で改良を加えられた系列
これらのうち、私が住む熊本にあるのが肥後系の「肥後花菖蒲」です。
「肥後花菖蒲」は、肥後細川藩10代目の細川斉護(ほそかわなりもり)の命を受け、江戸の花菖蒲づくりの名人に弟子入りした家臣が、門外不出を条件に、肥後熊本に持ち帰り、改良を続けて生まれました。池や堀に咲き、上から見て美しい江戸花菖蒲とは異なり、鉢植えで室内鑑賞用として改良された肥後花菖蒲は、横から見て美しい花姿をしています。
この「肥後花菖蒲」の魅力は、なんといっても花の大きさにあります。大きなものでは25~30cmほどにもなり、雌しべが大きく富士山の形をしているのが特徴的です。また、葉の色も、白、藍、瑠璃、紺、紫、鼠の七色があり多様であり、花菖蒲の系列の中では最も豪華だといわれています。
熊本城内でも栽培が続けられており、開花時期になると展示会が開かれていますが、現在(2016年4月14日以降)は休園中(入場再開は未定)のため城内での花菖蒲の鑑賞は難しい状況にあります。そこで、熊本県内の花菖蒲を鑑賞できる場所をいくつかご紹介しておきましょう。足を運んでいただく機会がありましたらうれしく思います。
かつてコメの流通の中心となった地域。
花菖蒲まつり期間中、夜間のライトアップあり。
細川藩家老、松井家の邸宅と庭園(国指定名勝)
1,000株、5,000本の花菖蒲が庭園内池の周辺に咲き乱れます。
棚田を活用した園内に、25万本の花菖蒲が咲き乱れる風景は圧巻
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