植物を育てるうえで大切な土。一概に土といってもさまざまな種類がありますが、筆者が園芸で一番使うのは「赤玉土」です。赤玉土は赤土を乾燥させてふるいにかけた粒状の土です。粒の大きさで大粒・中粒・小粒の3種類があります。水はけ(排水性)と水もち(保水性)に優れており、幅広い植物に利用できます。広く流通しておりホームセンターなどで手軽に入手できるのも優れた点です。
赤玉土は乾いているときと湿っているときの色が明らかに違い、水やりのタイミングを知らせてくれるサインにもなります。鉢植えで土の表面が白っぽく乾いてきたら、「あ、土の表面が乾いてきたな。少し経ったら水やりしなきゃ」といった感じです。
その赤玉土ですが購入したままの状態で使っても、何ら問題はありません。ただ、ひと手間(作業)加えると用途が広がり、植物の生長にとってもよくなります。今回は赤玉土にそのひと手間を加え、実際に植物を植えてみましょう。
赤玉土にひと手間 ふるいにかける
最初にぶっちゃけるとひと手間とは「土をふるいにかける」ことです。なぜふるいにかけた方がよいのか、少し説明します。
赤玉土は乾燥させて粒状に固めているだけなのであんがい崩れやすいのです(とはいっても、乾燥状態ではそれなりに硬く、指ではさんで軽く力を入れたくらいでは崩れません)。
つぶれて粉になった状態を「微塵(みじん)」といいます。土の中に微塵が混じっていると通気性が悪くなります。通気性が悪くなるのは、植物(特に根)にとってよくありません。赤玉土を買うと多かれ少なかれ微塵が混じっているので、ふるいにかけて取り除きます。
今回は小粒の赤玉土をふるいにかけます。大きめの受け皿(直径30cmくらい)が数枚あると、ふるい分けるときに便利です。
微塵を取り除くにはごく細かい網(網目およそ1mm)を使ってふるいにかけます(写真1と2)。網の目を通して出てきたさらさらした土が微塵です(写真3と4)。
微塵は水を加えて混ぜると団子状にまとまります。植物の植え付けには用いませんが、ダンゴ挿し(さし木技法のひとつ)などに利用できます。
微塵を取り除くだけで充分なのですがここでもうひと手間。ふるいに残った土をさらにふるいにかけます。今度は先ほどより少し粗い網(網目2~3mm)を使います。すると、網の目を通って微細の赤玉土が出てきます。これはこれでとっておいて植物を植える際に使います。ふるいに残ったのが小粒の赤玉土です。
赤玉土を微塵、微細、小粒の3種にふるい分けました。それでは実際にふるった赤玉土を使って植物を植えてみましょう。
植物を植える
使うのはふるいにかけた小粒と微細、2種の赤玉土です。その他、必要なものは上の写真をご覧ください。肥料はゆっくりと長く効く緩効性(かんこうせい)肥料が適しています。腐葉土などほかの土を混ぜて用いることが多いですが、扱いやすいサボテンや多肉植物なら、赤玉土だけで充分育ちます。
1.小粒の赤玉土に肥料を入れてよく混ぜます。
2.ポットからぬいた株は、軽く周りの土を落として鉢に入れすき間に赤玉土を入れていきます。竹串など棒状のもので土をがしがし突き込んですき間なく土が入るようにします。次の作業でさらに土を入れるので、鉢の上縁から表土までの空間を広めにとるのがコツです。
3.まんべんなく土が入ったら、その上に微細の赤玉土を敷きます。露出した表土を細かい土や砂で覆うと、鉢植え全体の見た目がぐっとよくなります。微塵を抜いた赤玉土をさらに小粒と微細に分けたのは、このためです。
4.たっぷりと水を与えて完成です。せっかく土の表面がキレイに整っているので乱れないよう、静かに水を注ぐか、底から水を吸わせます。
さいごに
上でも説明したとおり、赤玉土を購入したままの状態で使ってもなんら問題ありません。ただ、ふるいにかけるというひと手間が植物の見栄えをよくし、元気に育てるための手助けになります。今回は赤玉土をお手本にしましたが、他の資材や植物でも工夫やひと手間はまだまだ考えられます。みなさんも自分なりに工夫して園芸を楽しんでほしいと思います。
園芸とは関係ありませんが微塵をこねてドロダンゴを作り始めると、意外と熱中して時が経つのを忘れます。無心になりたい、もしくは童心に返りたい方はぜひ!
(ヤサシイエンゲイ 小林昭二)