尻多肉
リトープスという多肉植物があります。私は「尻多肉-しりたにく-」と呼んでかわいがっていますが、なぜそんな名前で呼ぶのか? それは見た目が「おしり」にみえるからです。上の写真をご覧ください。いかがです? おしりのように見えませんか?(形から何を連想するかは個人差があります)。
ユニークな姿
この姿……、一般的な植物とはかけ離れた姿です。どこが葉っぱで、どこが茎なのかさっぱりわかりません。一体全体なんなのでしょう、この姿は。
実をいうと、見えている部分は葉っぱなのです。極端に肥大した1対の葉っぱがつけ根でくっついて、こんな形になっているのです。葉の裂け目の奥には生長点(新葉)があります。茎は葉の付け根部分にありますが、極端に短くて土中に埋まっているのではっきりと判別できません。
当然、奇をてらってこんなユニークな姿をしているわけではありません。リトープスのふるさとは南アフリカやナミビアの雨量が少ない過酷な乾燥地です。そのような過酷な環境下で生き続けるため、このような姿になったのでしょう。肥大した葉っぱが水を貯蔵して、さらに大切な生長点を守っているのだと思われます。
美しい紋様
葉の上面は様々な紋様で彩られ、その美しさがリトープス最大の魅力です。葉の上面には透明の「窓」と呼ばれる部分があります。窓はサンルーフのように上面全体を被うもの、毛細血管のように網目状になるもの、点状になるものなどさまざまです。
上面の様子はつるりと平坦なもの、凹凸ができて立体的なものなどがあります。
脱皮する!?
リトープスのおもしろい生態に「脱皮」することが挙げられます。
動物でもないのに脱皮? と思われるかもしれません。確かに、言葉の使い方として「脱皮」は正しくないです。でも、古い葉を脱ぎ捨てて新しい葉を出す様子は、脱皮と呼んでも差し支えないでしょう。
脱皮の過程を簡単に説明します。春頃になると葉の奥にある新葉が葉の割れ目を突き破るように、メリメリと大きく生長します。今までの葉(旧葉)は水分を失って紙のように薄くなり、新葉の付け根に張り付くように残ります。新葉は2セット出てくることもあります。
主な開花期は秋です。葉の裂け目からにょっきりとつぼみを出し、キクやタンポポに似た花を咲かせます。花色は白や黄色です。
育て方のコツ
栽培環境は風通しが良くて十分な日差しがあり、雨の避けられる場所が適しています。乾燥には強いですが、過湿に弱いです。特に休眠時期(一般的には夏)の過湿は要注意です。夏の間は思い切って断水してもよいでしょう。生育期は秋~春ですが、この時期は過湿に気をつけつつ、乾いたら水をやるようにします。寒さには強く、最低0℃であれば大丈夫です。
溶けて枯れる
個人的によくする失敗は、梅雨頃~夏に溶かしてしまうことです。葉の内部は水分たっぷりのゼリーのような細胞(?)で満たされています。その細胞が腐ってしまうのか、ぐちゃぐちゃになって水分を失い、株が縮みカラカラにしぼんで枯れてしまいます。その過程が、本当に溶けるように見えるのです。高温多湿で風通しの悪い環境で起こることが多いです。
さいごに
リトープスの魅力をイラストにまとめてみました。少しでもリトープスのおもしろさが伝われば良いなと思います。
(ヤサシイエンゲイ 小林昭二)
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