肥料はあらゆる植物の育成や栽培に欠かせない存在で、植物の生長のサポートを目的とした栄養剤のことです。栄養素によって根や葉、花、実などサポートする部分が変わるので、植物の生長段階や使用目的によって、肥料の形状や量、与えるタイミングが異なります。しかし、初めての方が肥料を使おうと思っても難しい用語や表現が多くて困ると耳にします。
今回は、そんな方たちに向けて肥料についてできるだけわかりやすく説明したいと思います。第1回は「肥料の種類について」。どんな種類の肥料をどのような場面で使うのかをご説明します。
肥料の種類
肥料は、原料別でみると大きく二つに分けられます。一つは、米ぬか・油かす・葉・ウッドチップ・バンブーチップ・家畜の糞などの自然由来の物を原料とした有機質肥料、もう一つが無機質肥料(化学肥料)です。
有機質肥料の「有機」とは、動植物のように命があるものや生命があるように活動するモノ全体を指し(化合物に「炭素」が含まれるもの)、それ以外は「無機」(化合物に「炭素」が含まれないもの)といいます。
有機質肥料と無機質肥料を合わせた肥料は複合肥料、または「配合肥料」「化成肥料」「家庭園芸用複合肥料」などとも呼ばれます。また、原料によって肥料の名前が変わるように、肥料にはさまざまな呼び名があるので合わせてご紹介します。
- 元肥
植え替えや種まき、苗を植える時に、土壌に前もって混ぜておく肥料。ゆっくりじっくり効く、成分は低いが体力のある肥料です。
- 寒肥
春直前冬の時期に与える肥料。春に植物が活動し始めた頃に肥料が効くようにすることが狙いです。活動に勢いをつけるスターターの役目をします。
- お礼肥
収穫・開花したあとに与える肥料。樹勢の回復が目的です。
- 追肥
成育中に与える肥料です。速効性肥料を使用します。
- 実肥
追肥の一種で、開花や結実を助ける肥料です。
- 穂肥
追肥の一種で、実の物の収穫前に与える肥料です。
- 有機質肥料
葉っぱや野菜、穀物など植物系自然由来、家畜の糞や魚粕、骨粉など動物質が原料の肥料。効果が出るまでゆっくりですが、効果の持続時間長い肥料です。
- 無機質肥料(化成肥料)
化学的に肥料成分を抽出、人工的に作られた人造肥料。速攻に効果があります。
- 複合肥料(配合肥料)
有機質肥料と無機質肥料、2種類以上の肥料が混ぜられています。
- 単肥(単一肥料)
成分が1種類だけの肥料です。
- 固形肥料
固体の形をした肥料です。肥料効果が出るまでゆっくりで、持続時間は長いです。
- 液体肥料
液体の肥料の総称。肥料効果が早いですが、持続時間は短いです。
- 緩行性肥料
効果が長続きする肥料。
- 遅効性肥料
肥料効果が出るまでしばらく時間がかかりますが、効果が長く効きます。
堆肥とは
堆肥は、落ち葉や米ぬか、魚粉、動物の排泄物などの有機物を発酵などして作った成分の低い肥料のこと。栄養を供給するだけでなく、その構造から、通気性、保水性に優れ、植物の根やバクテリアに良好な環境を提供する資材です。ただし、堆肥が半熟の場合、バクテリアでの醗酵過程で、植物の根に有害ガスを発生することがあるので注意が必要です。
堆肥は、いわゆる肥えた土の土壌改良剤として用いられます。市販されている固形や液体の肥料と比べてゆっくりと効果が出始め、長続きするのが特徴です。
また原料次第で栄養価が変わり、作り方もさまざまですから、それぞれのご家庭にあった方法が選べます。葉っぱや枝、家畜のフンや野菜の皮など自然由来のものを原料として使います。
(つくば牡丹園・花職人/関浩一)
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