「スキなんだなぁ…コレが…」ってことで、今回ご紹介する植物は虫を食べることで知られる食虫植物。ちなみに「ウツボカズラの夢」なんていうドラマもスタートしたこともありちょっとした食虫植物ブームにもなりそうな予感ですよね。
植物園などに行くと食虫植物コーナーなんていう場所もありますが、最近は園芸店でも手軽に購入することができます。とは言ってもこの食虫植物が出回るのは梅雨時~秋までの期間。
なぜ、他のシーズンはあまり姿を見ないのでしょう? その答えは、原産地にあります。食虫植物の多くは熱帯のものが多いからです。そのため、日本では温度管理の点から冬場にダメにしてしまうケースも少なくないようです。
ちなみに筆者の場合も「毎年、購入しては枯らしてしまう」を繰り返し、専門家に「冬は水中で越冬させるといい」とアドバイスを受け、実験したこともあります。しかし実際はなかなかお付き合いするのは難しい植物のひとつです。とはいえ夏休み! 子どもたちの駆け込み自由研究として超オススメです。
ハエトリザウルスなんて名前でも呼ばれる『ハエトリグサ』
食虫植物の中でも有名人(草)。葉に虫が止まるとパチンと葉を閉じてしまうアレです。なんと、捕まった虫は消化液で溶かされ、植物の栄養にしちゃうというから驚きですよね。そんなハエトリグサは、湿地帯に生息している植物なので、水ゴケ管理がポイント! 常に水ゴケは湿った状況が一番といわれています。
夏休みの自由研究に使うなら、葉はどうやったら閉じるのか? 虫以外でも閉じるのかを観察するのがオススメ。ちなみに、これなら1日で自由研究完了!
ちなみに、ハエトリグサの冬場の管理は、寒さが厳しくなる11月、葉の元気がなくなってきたら休眠期に入るサインなので、0度以下にならない屋外管理がベストとか。もちろん、休眠期なので水はストップ。
そして、もうひとつ大切なことは、これはどの食虫植物にも共通しているのですが、肥料をやってはいけない! という点。こうしておけば、翌年もスクスクと育つ姿を見ることができるはずです。
コバエ対策にも役立つかも『モウセンゴケ』
名前はコケなんで、あの苔の仲間と思う人もいるようですが、これは名前だけのようです。葉の表面から光る粘液を分泌し、虫を粘り付け消化吸収します。筆者の場合は、夏場のコバエ対策にキッチンに置いていますが、これがなかなかの成績をあげてくれます。
栽培は、ハエトリクサ同様に水ゴケでOK。湿気を好むので水枯れしないように注意。ただ、蒸れには弱いようなので、風通しはそれなりに必要かも。
ちなみに、モウセンゴケは世界中に140種類以上が分布。日本にもモウセンゴケは平地から山間部の湿地に自生し、東京近辺では、国指定天然記念物の成東・東金食虫植物群落が有名です。ここでは、食虫植物以外にも、絶滅危惧類や準絶滅危惧に指定された生物にも出合うことができるので、夏休みに出かけてみてはいかがでしょうか?
食虫植物の代表はやっぱりコレ『ウツボカズラ』
ボルネオ、スマトラを中心に熱帯アジア、マダガスカル、セーシェル諸島、ソロモン諸島、ニューカレドニア、オーストラリア北部に90種が自生しているとされるウツボカズラは、サラセニア同様に人気の食虫植物です。
育て方は、春から秋は、戸外でできるだけ日光に当て、冬は室内管理がよいといわれています。ちなみに、植え替えは6月から8月の高温時に行えますが、根が細く弱いため、ダメージを与えないように注意することが必要です。
サラセニアも、ウツボカズラも入口の部分がすべすべになり、袋の中には水が溜まっているなど、一度捕えられた獲物が逃げられないような工夫がたくさんある植物です。自由研究にするなら、各パーツをしっかり観察してみるのもいいかもしれないですね。ちなみに、ウツボカズラは品種により大きさはさまざまで、ネズミを捕えるほどの大きさのものもあるそうです。
食中植物を捕え方で分類
食虫植物を虫の捕え方別に見ると、
- 葉の中に落として消化液で溶かすウツボカズラ科、サラセニア科などは落とし穴式
- ペタリと貼りつけるのは、モウセンゴケ科モウセンゴケ属、タヌキモ科ムシトリスミレ属など粘着式
- ハエトリグサのように葉ではさんで捕らえるものははさみわな式
と分類されています。
残り少ない夏休み、「植物園などで実際の植物の写真を撮影したり、スケッチをしたりしながら、虫の捕え方を分類するのもお勧めです。
(文・写真/グリーンアドバイザー ふじえりこ)
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