6月に入り、そこかしこで美しく咲くアジサイを目にします。まさに梅雨、アジサイの季節です。
紫陽花の効果的な水揚げ方法
さてこの時期、店に来るお客さまの「キレイなアジサイを庭から切ってきたのに、花瓶に生けたらすぐにしおれてしまって」などという悩みや相談をよくお聞きすることがあります。アジサイは、同じ季節に咲くユリとは違い、「切って水に入れるだけ」ではだめなんです。
しかし、ちょっとしたコツでうまくアジサイの水揚げができればだいじょうぶ。覚えておいて損はないので(笑)、ぜひ、挑戦してみてください!
アジサイの茎をよく見てみると、茎の中心部に綿のようなものが詰まっています。これが水分の多く詰まった細胞で、水揚げを妨げている原因のようです。
しかし、綿の部分をナイフの背やハサミの先端を使って削ぎ落としミョウバンを擦り込んでやると……、水揚がりがよくなるのです。
実際に私達が購入できるのは、薬局で売っている「焼きミョウバン」、ナスの漬けものを作るとき、色落ち防止剤としても使われています。
ミョウバンの効果って?
さて、ミョウバンにはどんな効果があるのでしょうか?
アジサイの茎にミョウバンを擦り込むことで、灰汁(あく)が抜け、水を吸い上げやすくなるのだそうです。また、アジサイはバクテリアの繁殖によって水下がり(花がしおれること)を起こしやすいのですが、ミョウバンにはバクテリアに対する抗菌効果もあるのだそうです。水揚後は、糖分を多く含む鮮度保持剤を入れることで、花もちがよりよくなり色もきれいになりますよ。
ミョウバンがなかったら
ミョウバンがないときは、茎を焼く方法も有効です。
新聞でアジサイの花をくるんで、切り口を新しくした茎の先をガスコンロの火などで真っ赤になるまで焼いてください。
ミョウバンを擦り込む、または茎を焼く方法は、アジサイの仲間のミナヅキ(ピラミッドアジサイ)やカシワバアジサイ、スイカズラ科のビバーナムという緑色の花をもつ枝ものや、モクセイ科のライラックにも有効です。
ミョウバンの使い道、他にもあった!
「青いアジサイを買ったのに、庭に植えたら花が赤くなってしまった」「色が悪くなってしまった」という話を聞くこともあります。これは植えた土壌がアルカリ性であるためと考えられます。青いアジサイを咲かせるためには土壌を酸性にするとよいのです。
そのためには、来年の4~5月、花芽が分化する直前に焼ミョウバンを500倍~1000倍に薄めたものを土に与えてみてください。その後、20日に1回、2、3回ほど与えることで、アジサイは焼ミョウバンに含まれるアルミニウムを吸収して青い花を咲かせます。
ただし、焼きミョウバンを与えても青くならない品種だったり、時期が遅過ぎて効果がでなかったりする場合もありますから、注意が必要です。
(高橋植物園 高橋さやか)
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