[タケ]暮らしの中の松竹梅 〜 竹のお話|竹|エバーグリーン

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私たちの暮らしが近代化されていくなかで遥か遠くに忘れ去られていくものがあります。それはどれほど確かで豊かであっても、時代のニーズに合わないという理由で、不便だと烙印を押されてしまいます。その結果、人々の意識のなかからも薄れていくのです。

そんなものの一つに、大自然と共に生きる人の生活があります。人の暮らしはずっと長い間、自然と寄り添ってきました。健やかで心豊かな人の暮らしです。しかし世の中が近代化されるにつれて、人の暮らし方も利便性重視へと流れ、本来の在るべき姿を失ってきました。

これらの目に見えぬゆえに軽んじられ、失いく形ない宝物を、今ここで立ち止まり思い返してみてはいかがでしょうか。時代はまさに物質や便利さではない本質へと向かっています。

 

竹が人の身体に与えるある効果とは……

これからお話しする竹においても、ここ近年新しい形で人々に存在価値を再認識されるようになってきました。

さて、竹といえば筍。待遠しい春の旬の食材として、美味しい料理となって食卓に上がります。私も筍が大好きで、時期になると何度となく調理をします。好きだからといって食べ過ぎると顔にブツブツができて、あわてて食べるのをやめることもたびたびあります。ブツブツの原因は筍の成分が強いせいだといわれていますが、はたしてそうなのでしょうか。私の感じるところでは、強力な排泄作用が生じているのではないか、身体に蓄積されている毒素が排泄されて吹き出物となって現れているのではないかと思うのです。

実はそれに気づいたのは最近のこと。我が家からそう遠くない場所、目黒・碑文谷の「すずめのお宿緑地公園」、横浜線の小机の「小机城址公園」に竹林があると知り、訪ねてみることにしました。

すずめのお宿緑地公園

すずめのお宿緑地公園

静かな住宅地の一角にある「目黒のすずめのお宿緑地公園」には、小さいながらも歴史ある竹林が存在します。同じ目黒区の緑ヶ丘から移築されたという古民家とのコラボが素晴らしく、しばし日常を忘れ、癒されました。「小机城址公園」は、その名の通り広いお城の跡地で、本丸と二の丸があった場所の全てが竹林となっています。その当時の土塁や空堀がそのまま残る、アップダウンのある散策路です。竹林の中にある広場には、小さな蕾を付けた桜の木がぐるりと植わっていますから、春にはお花見に訪れる人も多いと察します。

小机城址公園

小机城址公園

このふたつの竹林を訪ねたのは別々の日でしたが、どちらの日にも私の身体に異変が起きました。実は、私の身体は生まれつきとても敏感で、何かに直ぐに反応します。竹林に入り、呼吸をし、土を踏みしめ、ときには思いきり高く成長した竹の幹に触れながら、何時間か散策すると、なぜか決まって便意を感じてトイレを探しました。そして驚いたことに、お腹のなかでそれまで居座っていた全てが排泄されたのではないかと思うくらい、スッキリと爽やかに内臓が軽くなるのでした。私は通常便秘などしない体質ですから、毎朝決まって排泄は行われています。しかし、このような体験をしたことで、まだまだ不要物が体内に残っているのかと思い知りました。そして一度ならず二度までも竹林散策後のこの出来事に、これは竹の効果ではないかと感じたのでした。普段竹とは縁遠い生活をしているせいからなのか、竹の持つ解毒(排泄)効果を実感できたのです。

 

竹を加えておいしい漬け物を

竹は、昔から漢方でも竹葉や竹筎などといった身近な生薬としても知られています。竹の皮で食品を包むことによる殺菌効果も有名です。最近では、竹には多くの有用性バクテリアの存在が確認されています。特に今話題の乳酸菌が竹に多く存在していることも確認されて、商品化もされています。

私も発酵食品をいろいろ研究するうえで、ぜひその効果を試してみたいと思い、竹パウダーを取り寄せてみました。竹パウダーはそれ自体が既に乳酸菌発酵を促しますから、漬物に利用されます。私は、米糠と塩を足して、竹糠漬けを作ってみました。竹に棲む乳酸菌は強力なので、漬け込む時間もかなり短くて済みます。そして漬け上がりがサッパリとしていますから、糠の匂いが苦手な人でも、難なく食べられると思います。野菜の色も鮮やかなまま。これからもっと多くの人に利用されるようになるのではないでしょうか。

竹パウダーで竹糠漬けに

竹パウダーで竹糠漬けに

 

竹林を散策したときに落ちていた枝を拾って来てお風呂に入れてみました。エキスが浴槽のお湯に溶け出て若干緑色が広がります。そしてなんと良い香りでしょう! 都会で暮らす私が今まで知らないでいた竹の世界、これからはときどきご縁をいただきたいと思うのでした。

お風呂に

お風呂に

 

(山口マユミ)


竹パウダーで竹糠漬けに