今回は、日本の高山ならおよそどこででも見られる「ハクサンイチゲ」を紹介します。キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草で、北海道から本州中部の高山帯の湿った草原に普通に生えます。漢字で“白山一華”と書きます。
ハクサンイチゲは亜高山帯~高山帯のお花畑で大群落を作ることが知られていますが、私自身も白山はもちろん、南・北・中央アルプス、八ヶ岳や鳥海山など、多くの山々でハクサンイチゲの群落を含むきれいで壮大なお花畑に出合っています。山梨県内では御坂山塊などで見かけますが、群生するまでは多くありません。
写真のように可憐な花ですが、とても生命力の強い野草であると認識しています。1、2枚目は権現岳直下の急斜面の岩壁に生えるハクサンイチゲですが、わずかに堆積した土にすがりつくように根を張り、多くの花を咲かせています。
3枚目は、名前のように鋸の歯のギザギザした岩山の垂直に近い岩の切れ目で咲いていました。4枚目は、日本で一番高い所に咲くハクサンイチゲです。標高3,100mを超える場所ですが、『こんなところに!?』というのが第一印象でした。少し平らな場所なので雪の恩恵を受けているかもしれません。
高山草原でのハクサンイチゲの大群落は疲れを癒してくれるだけでなく、急勾配の登りなどでは『がんばれ!』と励ましてくれます。
(山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))