今回は「キタダケソウ」を紹介します。
キンポゲ科ウメザキサバノオ属(キタダケソウ属に分類することも)の多年草ですが、標高3,000m付近の登山道脇などの、ごく一部の礫(レキ)混じりの草地にひっそりと生えています。
茎の高さは10cm 程度で、若い根出し葉は粉白色を帯びます。この根出し葉は10~20cmで長い柄があって、3回3出複葉です。最終小葉は3つに深く裂け、その裂片はさらに2~3に裂けます。茎葉は1〜3個つき、2回3出で上の葉はほとんど柄がありません。
花期は6月下旬~7月上旬で、茎の頂部に直径2cmほどの白い花を1個つけます。萼片は5枚で花片は6~8枚です。
次の写真は北岳・草スベリの「ハクサンイチゲ」ですが、花が3個あること(1~5個つきます)や葉の形が写真1、2枚目のキタダケソウと異なることがわかります。また、葉っぱや茎には長い毛が生えているのも特徴の一つです。
1枚目の写真右下にハクサンイチゲが写っていますが、お気づきになりましたか?
北岳でも鹿害などによるキタダケソウの絶滅が懸念されてはいますが、関係者のみなさんの並々ならぬ努力によって毎年この花に出あうことが可能になっています。1~2週間の短いあいだしか見られないキタダケソウですが、近くに咲いているハクサンイチゲとともに両方の葉っぱなどに触れたり見比べたりしてみてください!
(山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))
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