花の季節。ボタン園で過ごすのもいい
「イチョウじゃないご神木」を探すのはけっこう難儀。ってことであれこれ検索した結果、今回からその寺社にゆかりのある植物を中心にご紹介したいと思います。
「西の長谷寺・東の西新井」美しいボタンに出あえる場所
都内にもこんな場所があったんだ、と感嘆するほど美しいボタンに出あえる場所、それが西新井大師です。コロナ禍ですので感染予防を考え、おひとりさまで散策してみるのもいいのではないでしょうか。
なぜ、西新井大師にボタンがあるのか。生花を伝えるために書かれたとされる『仙伝抄(仙伝書)』によると、ノボタン(野牡丹)が日本に伝わったのは、中国からお大師様が薬用として日本に持ち帰ったことからなのだとか。このボタン園はその昔(1804〜30年頃)本山長谷寺(奈良県)から移植され開園。今では見頃の時期にはおよそ100品種、2,500株が美しい花を咲かせます。このボタン園にちなみ、ボタンが描かれた開運御守りもあります(筆者は過去にこの御守りを入手しましたが、その場でヒモが切れました。その後起こった事柄について言及することは避けますが「これって予言だったの!?」と思ったことが記憶に鮮やかです)。
西新井大師には三箇所のボタン園があり、筆者が訪れた日は第二ボタン園のボタンが満開でした。
樹齢700年のフジは必見の価値あり
見どころはボタンだけではありません。大きな房は1メートルにもなるというフジは、なんと樹齢700年。満開の時期にはうっとりするような香りを楽しむことができます。ちなみに、フジにも薬効があることが知られ、民間療法では樹皮にできる藤こぶとタネを干したものが使われることが知られています。
ボダイジュもある!
境内を散策するとフジやボタン以外のさまざまな植物とも出あえました。お釈迦様とゆかりのある大きなボダイジュ(菩提樹)のほか、珍樹として寒桜、保存樹とされているクスノキなどもあります。
江戸時代には女性の厄除け祈願所だった
西新井大師は、正式には五智山遍照院總持寺(ごちさんへんじょういん そうじじ)といい、真言宗豊山派の寺院になります。弘法大師様がその昔、錫杖(しゃくじょう)を持って各地をめぐり歩いた巡錫(じゅんしゃく)のときに立ち寄り十一面観音像とご自身の像を彫り、悪疫流行に苦しむ村人を救うために枯れ井戸に安置し祈願したことで、井戸からは清らかな水が湧き、病はたちどころに平癒したとされています。その井戸にちなみ「西新井」の地名になったのだとか。縁日は毎月21日、厄除祈願は連日行っているとのこと。コロナ禍だからこそ訪ねてみたい場所ではないでしょうか。
境内には塩地蔵も
別名:イボとり地蔵。その名の通り供えられている塩を持ち帰り、イボにつけるとイボが取れるのだとか。そして、イボが取れた時にはお礼として倍の塩を返すと良いのだそうです。気になる方はお試しを。
- 『西新井大師』:東京都足立区西新井1丁目15-1
(グリーンアドバイザー、開運植物文様研究家 藤依里子)