世界がコロナウイルスで震撼しているさなか、筆者は御神木を訪ね千葉の勝浦へ行ってまいりました。訪れた遠見岬神社は、今年は中止になりましたが例年「ビッグ雛祭り」が開催され多くの観光客で賑わいを見せる場所です。
御神木はタブノキ
老体にムチ打ち、階段をのぼり、さらに坂をのぼり切った場所に遠見岬神社は鎮守します。以前この神社には来たときには御神木には気付かなかったので再度の参拝です。そして今度は驚くほど立派な御神木に出あうことができました。
木の葉の香りからクスではないかと思って調べたところ、タブノキでした。ちなみにこのタブノキはクスノキ科の常緑樹で漢字では「椨」だが、中国では「楠」と書くことからも南の方でよく育つ植物だとされています。また、名前の由来は神事との関連が深い事から霊(たま)が宿るタマノキがいつしかタブノキになったとされたのだとか。また、火を伏せる木として信仰された歴史もあるようです。
遠見岬神社とは
この神社には、房総半島に技術と文化をもたらした天冨命(あめのとみのみこと)が祀られています。天冨命は四国から房総へと渡り、関東全域の発展に寄与し、技術の伝承ののちに当地に住まわれたとのだとか。そのこともあり、江戸時代には勝浦は「勝浦三町江戸勝り」といわれるほど活気に溢れ繁栄する場所だったようです。
また、今でも残されている海での漁や航海の安全を祈る船神様信仰には、嘉永五年(1852)までは天冨命が伝えた麻が使われていましたが、それが人形の形に変わり今でも続いています。また、漁業が盛んであることから、神社では男性向けの勝男(かつお)みくじと、女性向けの金女(きんめ)みくじを受けることもできます。
冨咲(とみさき)の石段
毎年、雛祭りの時期にはこの60段の石段にずらりと1,800体もの雛人形が飾られる『勝浦ビッグひなまつり』の会場になりますが、この石段は冨咲に通じ、これをあがると「冨が咲き幸せになる」と伝えられているのだそうです。また、願い事をするのに良いとされる「新月」の日には新月祈願祭が行われているということですので、大きな願いがある方は尋ねてみてはいかがでしょうか。
- 『遠見岬神社』:千葉県勝浦市浜勝浦1番地
(グリーンアドバイザー、開運植物文様研究家 藤依里子)