[チェルシー]チェルシーフラワーショー2019速報レポート 北海道・十勝からの初挑戦(4)|エバーグリーン

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チェルシーフラワーショー会場は花いっぱい!

 

 

最終回「初出場で堂々、金賞受賞!」

開幕当日は抜けるような青空です。朝8時の開場前には、すでに夫婦連れ立ってのお客さまなど、熱心なガーデニング愛好家たちが続々と門前に並んでいます。

開門と同時に続々入場するお客様たち

開門と同時に続々入場するお客様たち

 

そのころ私たちスタッフは、「漢方の庭」の最後の掃除などに追われていました。が、実はそのすぐそばで小さな事件が発生していたのです!

あとで聞かされたのですが、デザイナーの一人である柏倉さんが、バックヤードの片隅にしゃがみこみ「お腹が痛い……」と大きな体を小さく丸めて唸っていたのだとか。受賞していれば、8時過ぎには伝達の使者がやってきます。その使者が来るのか、来ないのか……。きっとデザイナーとしての責任感や重圧で、彼の心と体は押しつぶされそうだったのでしょう。

早朝。運命の時を待つ静かな『漢方の庭』

早朝。運命の時を待つ静かな『漢方の庭』

 

運命のときはいきなりやってきました。すでにお客様も入り始めたころ、カメラを担いだBBCのテレビクルーたち一団と赤いジャケットを着た女性がやってきて、佐藤さんと柏倉さんの二人を囲み始めました。私はその囲みの外にいたので話は全然聞こえなかったのですが、佐藤さんが何かを叫んだのです。私は確信しました。「やったー! 金賞だっ!!」。

受け取った金賞を手にする二人

受け取った金賞を手にする二人

BBCのTVカメラに金賞を見せる佐藤さん

BBCのTVカメラに金賞を見せる佐藤さん

思わず柏倉さんが佐藤さんを担ぎ上げて、ポーズ!

思わず柏倉さんが佐藤さんを担ぎ上げて、ポーズ!

 

そもそも「金賞」ってメダルなのかしら? と漠然と思っていた私。でも、実物はメダルがプリントされた賞状でした。それは写真のように飾る用で、案内板にはそれを掲示するための空きスペースがあったのでした。

看板に掲示された金賞の賞状。お客様はこれを必ずチェックします

看板に掲示された金賞の賞状。お客様はこれを必ずチェックします

 

それからはともかく来客の嵐でした。BBCの特番用に有名俳優の司会者が撮影に来ました。苦労を分かち合ったナーサリー(苗の生産販売業者)のジェッカさんがお祝いを言いに来られたときには佐藤さん、もう涙をこらえきれずに抱きついていました。

BBCクルーはイケメン司会者のコメントをささっと撮影!

BBCクルーはイケメン司会者のコメントをささっと撮影!

苗の入手に苦労した佐藤さんを陰ながら支えてくれたジェッカさんとハグ

苗の入手に苦労した佐藤さんを陰ながら支えてくれたジェッカさんとハグ

スタッフ一人一人ともハグ。いつもクールな植栽スタッフTさんも思わず涙

スタッフ一人一人ともハグ。いつもクールな植栽スタッフTさんも思わず涙

その後は落ち着いて取材に応じる二人

その後は落ち着いて取材に応じる二人

 

こうして、五日間に渡る華やかなチェルシーフラワーショーが開幕しました。本当に多くのお客様が「漢方の庭」にやって来ては、「すてき!」「美しいわ」「穏やかな気持ちになる」「この庭好きよ」と、様々な感想を口にされていました。ただ見るだけの方々が多い日本のガーデニングコンテストとはまったく違う光景は、さすがガーデニング大国。

「この花の名前は?」「イギリスでも育ちますか?」など質問も多くいただきましたが、片言でしか答えられない英語力のなさがなんと恨めしかったことか。植栽された植物名リストを知りたい、という要望もかなりありました。英文パンフレットは1万部用意がありましたが、三日目午前中にはすでに在庫が少なくなり配布を絞ったほどでした。その頃には日本のTVクルーも取材に訪れ、デザイナーの二人は熱心な観客対応と合わせててんてこ舞い。休憩も昼休みもろくにとることができない五日間でした。

テレビ朝日系列からの取材をいただき、全国ニュースにも登場!

テレビ朝日系列からの取材をいただき、全国ニュースにも登場!

 

とはいえ、合間には会場内で売られているフィッシュ&チップスやイカリングを食べたり、「チェルシーフラワーショーといえばこれ!」という名物カクテル、ピムスもゴクゴク。この世界一のガーデニングのお祭りを楽しんだ私たちでした。

イカリングやフィッシュ&チップスには、たっぷりケチャップがお約束

イカリングやフィッシュ&チップスには、たっぷりケチャップがお約束

チェルシー名物、カクテルの『ピムス』。キュウリが一切れ入っているところがいかにもイギリス

チェルシー名物、カクテルの『ピムス』。キュウリが一切れ入っているところがいかにもイギリス

 

施工を担ってくれたタツさん率いるイギリス人チームも、各々家族を連れて観に来てくれました。チェルシーフラワーショーでの金賞受賞は、施工業者にとっても栄誉ある「勲章」なのだそうです。息子は年老いた父親に、夫は妻に、「ここはこうで……」と苦労話をしている顔が、晴れ晴れと誇らしげでした。工事期間の2週間余り、家を留守にして合宿所に泊り込んで彼らは作ったのです。金賞受賞は彼らの家族の協力あってこそだったのです。

現場を冷静に仕切り続けた監督タツ(白井達也)さん、スタッフの一人ウィルさんも晴れ晴れ!

現場を冷静に仕切り続けた監督タツ(白井達也)さん、スタッフの一人ウィルさんも晴れ晴れ!

 

世界のガーデニング界でも「ウェルネス」が着目されるなか、今回この「漢方の庭」は初参加にして金賞を受賞することができました。関わった一人としてそれはとても誇らしくうれしい経験となりました。

けれど、今回私が何より宝物だと感じたのは、苦しいこと、大変なことを素晴らしいチームと一緒に乗り越えて、幸せな庭作りが出来たことです。佐藤さんと柏倉さんの、十勝からの挑戦はまだまだ始まったばかり。これからも彼らが「幸せを呼ぶ庭作り」を世界に広めていけますようにと、私は心から願ってやみません。

そして、短い間でしたが、私の拙いレポートを読んでくださったみなさまには感謝しかありません。どうもありがとうございました。(了)

 

(オーガニックガーデナー 花房美香:「漢方の庭」チーム 植栽スタッフ)

おまけ:今日の二人+仲間たち。

 


受け取った金賞を手にする二人