平地から山地まで、広い範囲の陽当りがよい山野でふつうに見られる「キジムシロ」を紹介します。バラ科キジムシロ属の多年草で、北海道から九州まで、沖縄を除く日本全国に分布します。
山梨県内では写真のように、里山から標高約2,000mまでの広範囲で見ることができます。春を告げる山野草の一つで、花期は4~5月です。山梨市内の里山では、4月中旬頃から見られますが、標高約1,700m超の高原や雪の多い日本海側では5月上旬頃から咲き、6月上旬まで見ることができます。花は淡い香りがします。蜂や小さな虫などが群がってくるので、蜜が豊富なようです。
キジムシロは全体的に毛が多く生えています。特に茎や葉柄・葉などに多く、独特の触覚が楽しめます。茎は高いもので約30cm、花の直径は2cm以下と小さな山野草なので、嗅覚に敏感なお客さま以外には森林セラピーで利用することはありませんでした。
お客さまの一人が『この葉に触れてもいいですか?』と仰ったことがきっかけで、筆者自身も茎・葉・花などに触れました。お客さまと異口同音に『とても柔らかく新鮮な手触り!』と言ったことを思い出します。
(山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))