あるときから毒草として突然有名になってしまったトリカブト。今回はそのたくさんある仲間から、林内や林縁などに見られる「オクトリカブト」の一種である「ヤマトリカブト」を紹介します。
トリカブト:鳥兜(キンポウゲ科トリカブト属は)多年草で、北海道から九州に分布し(一年草もあります)、なかにはそれぞれの地域の名前が付いているものが多くあります。
毒のないものもありますが、ほとんどが毒を持っていると考えるのが無難でしょう!
ここで紹介する「ヤマトリカブト」は、東北地方南部から中部地方東部の限られた地域に生息しています。
茎は斜めに伸びて、長さは80cmから大きなもので180cmあまりになります。茎には曲った毛が生えています。葉は3〜5個に深く裂けており、裂片には披針形又は卵状披針形の欠刻状鋸歯(ギザギザの歯状)があります。
花の時期は9月から10月です。写真のような散房花序となっており、青紫色の多数の花が付きます。茎・葉・花にも曲がった毛が付くのが特徴です。雌蕊(おしべ)はふつう3本あります。
西沢渓谷コ-スでは、渓流添いや旧トロッコ道などでよく見かけます。
国内のトリカブトの仲間は約30種以上といわれていますが、この「ヤマトリカブト」は毒性の強いものの一つです。全体が毒で、特に根の部分の毒性が強力です。体内に入れなければ問題はないですが、仮に 茎・葉・花に触ってしまった(触感を試された)場合は、直ぐに手洗いしましょう! 傷のある手指では決して触れないようにしましょう!
弱い甘い香りがしますが、念のため、花に鼻を近づけて嗅ぐことも避けましょう。
ただ一方、扱い方さえ間違えなければ古来から生薬、漢方薬として広く用いられてきたものであることも、覚えておいていただけるとうれしいです。
最後にご挨拶です。今回の「ヤマトリカブト」で、西沢渓谷コ-スの樹木や草花の紹介をいったん終わりとさせていただきます。足かけ2年間ご覧いただき、まことに有り難うございました。昨年夏の「ギンバイソウ」からスタ-トして、森林セラピ-の目線で約50種ほど紹介させていただきましたが、私個人が撮った植物はコ-ス添いだけで草花、樹木各々120種を超えます。みなさんの目で、お気に入りの花をたくさん探してみてください。
次回からは“高原の花たち”を楽しんでいただけたらと考えています。渓谷とはまったく違った花たちが、みなさんを待っています。
(山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))
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