日本各地の多くの寺社などには、願いを叶え、パワーがもらえるとされているご神木と呼ばれる木が数多く存在しています。これは、運気、邪気、勇気、弱気、強気などの“気”と“木(樹)”を掛ける語呂合わせだったり、願いを叶える力もあると信じられているからでしょう。
今回は以前にご紹介したことがある玉前神社から、ご神木とされている『イス』をご紹介します。
『イス』ってどんな木
筆者にとっては聞き慣れない名前の『イス』。
看板に目をやると、なんでもこの木は『なんじゃもんじゃ』とも呼ばれているとか。『なんじゃもんじゃ』といえばハワイにもあったような……。しかし、今ひとつ樹形が違うように思え調べてみると、なんでも『なんじゃもんじゃ』と呼ばれる木はその種類に関係なく、その地方の珍しい木のことを指す言葉なのだとか。そのため、ハワイのオアフ島にあるCMでもおなじみになったあの『なんじゃもんじゃ』はモンキーポッド(アメリカネムの木)。
そしてこの玉前神社のご神木の『なんじゃもんじゃ』はイスなんですね。マンサク科で別名はヒョンノキ、猿笛、蚊母樹としても知られています。ちなみに、明治神宮にある『なんじゃもんじゃ』はヒトツバタゴです。
ユニークな別名『蚊母樹(イスノキ)』のワケは?
それにしても、蚊母樹とはユニークな別名です。蚊になにか関係があるのでしょうか?
調べてみると、虫癭(ちゅうえい)と呼ばれる虫コブが付き、この木にできる虫コブにはタンニンが含まれており染料になるのだとか。また、看板にもありますが、虫コブから虫が飛び出したあとの殻を吹くと音を出すことから「猿笛」とも呼ばれています。もちろんこうして虫コブを作る性質から、厄除けなどご利益(ごりやく)の縁起を担がれたのかもしれません。
『子育て子宝/イチョウ』
筆者が訪ねたのはちょうど節分。そのため、残念ながらイチョウの葉は落ちていました。こちらの神社では、雄株と雌株の間にイチョウの子どもが育っていることから、この木に触れて祈願をすると子宝や子育ての願いが叶うのだとか……。
玉前神社は女性を守る
ちなみにこの玉前神社の名前の由来は、九十九里浜がかつて「玉の浦」と呼ばれていたことからきているとのこと。また、玉依姫命(たまよりひめのみこと)がご祭神として祀(まつ)られていることから、縁結び、子授け、安産、子育てなど、女性の一生にご利益があるとされていますので、女子旅の目的地のひとつにするのもオススメです。
エバーグリーン編集部オススメサイト
- 『上総国 一之宮 玉前神社』への行き方:外房線 上総一の宮駅 徒歩7分
(写真・取材/グリーンアドバイザー・開運文様研究家 ふじえりこ)
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