「お正月の花がまだ元気なのよ!? すごいわよね。寒いからねー」
とお客さまがにこにこしながら教えてくださいます。冬の花はほんとうに長持ち。たとえば1週間に一度、少しずつ買い足せば、ひと月後には、家中花でいっぱいにすることも今ならできますよ。でも、花屋としてはうれしい反面、そろそろ買い足してほしいなーと複雑な気持ちです(笑)
さて、高橋植物園では、月に1度、お子さんを対象にした「子ども花教室」を開催しています。その様子を不定期でご紹介していきたいと思います。
クリスマスローズをお風呂に入れてあげてね
今年初めての子ども花教室は、ちょっぴり大人気分でクリスマスローズを使って花束を作りました。花材はクリスマスローズ、バラ、アルストロメリア、ステファノチス、リューココリーネとドラセナです。
最近人気のクリスマスローズの学名はヘレボルス。なかでもニゲルという種類が、花の咲く植物の少ないクリスマスの頃にバラのような花を付けるため、クリスマスローズと呼ばれているんですよ。クリスマスローズはキンポウゲ科ですが、同じ科でも他の園芸種は、クリスマスよりもっと後に花を付けるものが多いようです。
美しいクリスマスローズですが、切り花として飾るためには、水揚げを少し工夫してあげる必要があります。
「クリスマスローズをお風呂に入れてあげてね」と、子どもたちに言うと、興味深そうにきらきらした目で私の方を見てくれました。
そう、クリスマスローズの水揚げは、花首近くまで浸かるくらいの40〜42℃のぬるま湯に茎元を切り戻しした花を漬け、お湯の温度が下がるくらいまでそのままにしてあげると、機嫌よく元気になってくれるんですよ。これは植物の中でも珍しい水揚げ方法です。バンダというランもこの水揚げが適しています。
参加してくれた男の子は、「毎日いっしょにお風呂に入れてあげたい!」と言って、お母さんを困らせていました(笑)。
じっくり花を向き合って出来上がったブーケは?
今回は、元気のよいクリスマスローズのほかに、ステファレノチスをワイヤリングして花束に入れました。
ステファレノチスもとても珍しいお花です。花は純白、星型で肉厚な花で、お菓子のような特有な、でもよい香りがします。高価な花なので、花首で切ったものがパックに入って出荷されるのですが、ウエディングブーケを扱うような店でないと常備している花屋は少ないと思います。
他に、南米原産、ユリ科で星型のとても繊細な花弁と、細い茎をもち、これまた香りのよい早春に花屋で見られる球根のリューココリーネ、黄色い、ころんとした卵のような丸みを帯びたカタリナという品種のバラ、おぼろ月という優しい黄色の品種のアルストロメリアを使いました。
大人でも難しい花材ばかりなのに、子どもたちは真剣に、黙々と束ねていきます。優しく扱わないと折れてしまうような細い花や花の向きに癖がある花を一つひとつ見つめて、居心地のよい場所を手の中で探してあげます。
花束が出来あがった時にきつく締めすぎると細い茎は折れてしまうので注意も必要です。
子どもたちがじっくり花と向き合って完成した個性豊かな花束をご覧ください。
さあ、皆さんも春の香りよい花々を使って素敵な花束を作ってみてはいかがですか?
(高橋植物園 高橋さやか)
- 前の記事を読む(栄養たっぷり!)
- 次の記事を読む(ランの栽培は難しい?)