頼朝伝説を探る!
前回は源頼朝ゆかりの寺、長福寺の境内にある『筆掛の槙(マキ)』を紹介しました。なんでも、石橋山の戦いに敗れ房総に逃れてきた頼朝が寺を訪れこのマキの木に筆を掛けたと云われているものでしたよね。さて、頼朝つながりで今回は千葉県大原にゆかりの御神木的な木があるというので探してみました。
これって御神木ですよね!
なんと、田の真ん中に鳥居がドン! そして鳥居のむこうには杉(スギ)の木が2本ドドドン! あまりの見事な姿にほれぼれ。これが『名熊の二本杉』。高さ12mほどありその名のとおり2本のスギ。別名「頼朝の箸杉」とも呼ばれ、頼朝がこの地で食事をとり、そのとき使った箸(はし)を地面にさしたところ成長したもの、という謂れがあります。
ほかにもあった頼朝の木!
歴史はからっきし弱い筆者ですが、NHKの大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で源頼朝を演じる大泉洋さんは大好き! ってことで、もう少しだけいすみ市大原周辺の源頼朝の頼朝に関係する樹木を探してみることにしました。……すると、あるもんですね。
ネットで、「頼朝 いすみ市 植物 樹木」と入れて検索し見つけたのが、『兜(かぶと)松』(残念ながら当時のものではなく最近植えられた感じ)の近くには碑があり、頼朝が休息したときに兜をかけたことなどが書かれていました。この碑には「兜」ではなく「甲」の文字。ただ、この甲松を発見するはちょっと難儀でした。もし訪ねたい方は江場土(えばど)を目指し、国道128号を茂原に向かって夷隅川の手前の細い道を右に入るとその近くのアパート付近にあります。わかりにくい場所ですので、じっくりと探してみてください。
大杉(箸杉)も……
このほかにも、太東崎(たいとうざき)近くで頼朝は昼食を食べようとしたが、箸がなかったためスギの小枝を箸代わりに。食べ終えてその場にさしたところ、その枝は大木になったとされています。こちらの木はさらに国道128号を茂原に向かって走りスーパーの角を曲がったすぐの場所にありますが、残念ながらこちらも当時のものではありません。
まだこれ以外にも
筆者はまだ探していませんが、頼朝伝説にちなんだ「二股のススキ」というのがあるそうです。これは茂っていたススキを頼朝が抜き、「来たる戦に勝ち、成功したときは繁茂せよ」と命じたそうで、頼朝が平家を滅ぼして鎌倉幕府を開いた頃からこのあたりのススキは二股になったのだとか。また、現在の太東漁港、海水浴場あたりには当時はアシが生えており、部下がアシの軸(茎)を抜き取り、地に挿し、今後の運命を占ったことから辺りのアシは片葉になったのだとか……。
とはいえ、史実では頼朝はなぜか外房には来てないことになっています。しかし、上総の武士に力を借り勝利したのは事実とのこと。その証拠かどうかはわかりませんが、源頼朝上陸地(安房郡鋸南町竜島165-1)という場所もあります。機会があったらぜひ訪ねてみたいと思います。
- 『名熊の二本杉』:千葉県いすみ市下布施4482
(開運文様研究家&園芸文化協会会員 藤依里子/近著に『文様のしきたり(青春出版))