暑い夏だから読みたい3冊
猛暑に続いて台風。こんなときは外での作業はちょっとお休みして、エアコンの効いた室内でじっくり読書、というのはいかがでしょう。植物の愉しみはは育てるだけでなく、本を読んだり調べものをしたりすることでその世界をもっと知ることができ幅が広がるものです。というわけで、今回はこの暑い夏だから読んでほしい3冊を紹介させていただきます。
アサガオがテーマのミステリー小説
第26回柴田錬三郎賞受賞作。大人気ミステリ作家・東野圭吾氏の小説です。
お話の舞台は、この季節には浴衣を着て歩きたくなる入谷界隈。ちなみに、入谷鬼子母神(いりやきしもじん)は毎年7月の朝顔市が知られているということで、お話の主人公になる植物は夏にピッタリのアサガオです。あらすじは、高円寺(東京)住まいの大学生・秋山梨乃の花好きの祖父・周治が殺されたことから幕が開きます。梨乃が庭先にあった黄色い花の鉢植えをブログにアップしたことから事件は展開していくというものです。そして事件の真相解明のカギになるのが、密かなブームで研究者もいる「変化アサガオ」。
変化アサガオに関しては、『変化朝顔図鑑:アサガオとは思えない珍花奇葉の世界(著者/仁田坂英二)』といった本もあります。この本ではその世界感を楽しむことができます。夏場は、この変化アサガオを実際に目にすることができる場所などもありますで、(猛暑は避けて)『夢幻花(むげんばな)』を片手に出かけて見るのもいいのではないでしょうか。
植物のことを知りたいと思ったら……
著者の川崎景介氏は花文化研究者であり、日本民族藝術学会員、さらにマミフラワーデザインスクール校長。日本だけではなく、世界各国の花文化を独自の視点で研究されている方です。著者独自のユニークな視点で植物文化をとらえ、ブルガリアのバラに始まり、ハワイのリース、日本のササ、タケに至るまで数えきれないほどの花や植物の「ちょっと人に話したくなる」エピソードが満載です。花はその国の文化であることがこの本を通じて知ることができる1冊となっています。
和の文様になかにある植物……
『日本の文様』著者/藤依里子、イラスト/kd factory (だいわ文庫) 文庫
どさくさで自著を紹介させていただきますネ。園芸科を卒業、グリーンアドバイザー資格を持ち、はたと気がつくとなぜか着物や和の文様に関する本を執筆。でも、これにはワケがあります。なぜなら、日本はその昔園芸大国と呼ばれるほど数多くの植物で知られた国。そのため、日本の伝統工芸や家紋のなかには多くの植物が登場しています。
浴衣のシーズン、浴衣の絵柄、団扇の文様にちょっと目をやると植物が数多く描かれていますよね。本書では、植物文様を中心に日本の伝統文様の意味やいわれを解説させていただいています。開運に結びつく植物文様も多いので、この夏に素敵なご縁を引き寄せたい人は植物パワーを上手に利用することが役立つかも知れません。本書の美しいイラストは、多くの和の文様のデザインで知られているkd factory。文章はともかく和テイストで心癒される1冊になっております。
と、今回は自著を含め3冊の本を紹介させていただきました。今後も機会があれば、植物をテーマにしたステキな本や映画なども紹介させていただきたいと思います。
(グリーンアドバイザー・開運文様研究家 ふじえりこ)