日本全国の神社やお寺、地域によってはシンボルツリーのような扱いで、願いを叶えてくれるご神木と呼ばれる木が数多く存在しています。これは、運気、邪気、勇気、弱気、強気などの“気”と“木”を語呂合わせしているのはもちろん、実際に願いを叶える力もあるからでしょう。特に、大樹や古木には、木霊と呼ばれる精霊のようなものが宿り、不思議な力を持つといわれています。
ご神木のご利益は、その神社のご利益と同じ
寺社周辺にある鎮守の森。ここは、古の時代からの息吹が感じられる場所。社務所にて「あの……、この神社にご神木はありますか?」と伺ってみたところ、「神社にある木々はすべてご神木。ご神木のご利益は、その神社のご利益と同じです」との答えが返ってきました。ふむ、ふむそう言う考え方も一理あると納得。
ちなみに、ここ玉前神社は古社のひとつで、平安時代にまとめられた『延喜式神名帳(えんぎしきじんみょうちょう)』では、名神大社(みょうじんたいしゃ)として朝廷・豪族・幕府の信仰を集めていた場所。そのため、千二百年の祭礼の歴史もあり、子授け 、安産、厄除け 、家内安全 、商売繁盛 、事業繁栄 、交通安全 、学業成就 、合格祈願 、心願成就 、身体健全 、方除け 、八方除け 、病気平癒 、厄災難除 、社内安全 、神恩感謝 と数々のご利益があるとされ、神社を囲む木々にも同様のパワーも考えられます。
常緑である槇は生命のシンボルとされてきた
ここ玉前神社には数多くの槇(マキ)が植えられていますが、江戸時代から『槙に鹿文』という文様にも登場しています。ちなみにこの文様には、ロクとも読まれる鹿と組み合わされており、ロクは七福神の福禄寿に通じるとされています。一方、槇(マキ)は、常緑であることから生命のシンボルであり、古木になると龍の姿に見えることから、風水では南、南西、西に植えるのが吉とされているのです。と考えると、槇(マキ)の群生があるこの場所は、そこにいるだけ、立つだけで、生命がみなぎるパワースポットだと考えても過言ではないようです。たしかに、この玉前神社をグルリと一回りすると、落ち込んでいた気持ちなども吹っ切れカラダの中から元気がみなぎるそんな気持ちになれました。
境内には注連縄がある木々もいくつか見られますが、ここ玉前神社では注連縄の有無がご神木というわけではなく、神を守り、神を祀る木々はすべてご神木とのこと。ストレスを抱えて、パワーダウンした時には近くの寺社に足を運んで神祀る鎮守の森の霊気でパワーアップするのもいいかもしれないですね。
- 参考文献:『和のお守り文様366日(PHP)』(藤依里子)
- 『玉前神社の槇の群生』への行き方:外房線 上総一の宮駅 下車5分
(写真・取材/グリーンアドバイザーふじえりこ)
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