植物図鑑
フジバカマ
ヒヨドリバナ属
フジバカマ
学名:
Eupatorium japonicum
〔基本情報〕河原の湿った草地でみられる高さ1~2mの多年草。
長く横に這って枝分かれする根茎をもち、しばしば群生します。
茎は緑色で、直立して上部で枝分かれし、無毛もしくはわずかに毛がはえます。
葉は対生し、長さ8~13cmで、茎の下部につく葉は深く3裂し、上部につく葉は野生のものではふつう分裂しません。
葉の表面には光沢があり、無毛もしくは縁に短毛がまばらにはえます。
葉の裏面は無毛もしくは脈上に短毛がまばらにはえ、腺点はありません。
葉の縁には鋸歯があります。
短い葉柄をもちます。
茎の上部に淡い紅紫色~淡い紫色の頭花を散房状に多数つけます。
頭花は管状花のみからなり、雌しべが花の外に突き出ます。
花には強い芳香があります。
果実は痩果で白色の冠毛があります。
〔来歴〕秋の七草のひとつとして、古くから親しまれ、『万葉集』や『源氏物語』に登場します。
奈良時代に大陸から渡来したものが野生化したと推測されています。
〔利用〕乾燥させた茎葉には芳香があり、全草を薬用や入浴剤などにします。
〔栽培〕増殖は実生、株分け、挿芽によります。
日当たりと、水はけ・水もちのよい土壌を好みます。
地植えの場合は強い西日が当たったり、乾燥する場所は避けるようにします。
また、地下茎をのばして広がるため、増殖しすぎないようにするには地下に枠をつくるか大きめの植木鉢に植えてから埋めます。
水やりは水切れしないように注意し、鉢植えの場合は土の表面が乾いたらたっぷりと与え、地植えの場合は夏に晴天が続いて乾燥しないかぎりは降雨にまかせます。
肥料は与えすぎると間延びしたり花つきが悪くなるので、元肥を施せば特に必要ありませんが、鉢植えの場合は春と秋に薄めた液肥を与えてもよいです。
病虫害は特にありません。
〔備考〕準絶滅危惧に指定されていますが、栽培されたものが逸出している場所もあります。