チランジア ウスネオイデス(以下 ウスネオイデス)は、いわゆるエアープランツと呼ばれている植物の一種で、その中でも特にユニークな姿で人気があります。白っぽくてもこもこして、どこが茎でどこが葉っぱなのかよくわかりません。初見の方には植物には見えないかもしれません。
名前の由来
ウスネオイデスとはサルオガセ(地衣類)に似たという意味で、和名のサルオガセモドキも同様です。地衣類は緑藻(りょくそう)やシアノバクテリアと共生する菌類の仲間です。おもしろい生態なので、興味のある方は調べてみてください。
「スパニッシュモス」「スペインヒゲ」などの別名がありますが、スペイン原産ではなく中南米に分布します。茎は下向きに伸びていって、株全体が暖簾(のれん)のようにだらりと垂れ下がります。茎は糸のように細いですが、非常に丈夫です。銀白色の茎葉がそよ風にさらさらと揺れる姿はとても美しいです。
生態
木の枝などに絡まって生活する着生植物です。原産地では電線に絡まっていることもあるそうです。アサガオのように自ら巻き付いていくわけではありません。枝に引っかかって絡まっているだけのように見えます。栽培するときは、鈎状(かぎなり)に曲げた針金などに引っ掛けて、風通しの良い場所にぶら下げます。
私は庭木、ウバメガシの下にぶら下げて栽培しています。風が吹いて揺れると、茎葉(けいよう)の一部が小枝に引っかかることがよくあります。小枝からはずそうとすると、案外しっかりと絡まっているので無理矢理引っ張ってちぎれるのが怖く、はずすのに苦労しました。軽くて風にあおられることや、茎葉にゆるいウェーブがかかっていることなどが絡まりやすい要因です。原産地でもこうやって絡まっていくのかな、と思わせてくれます。
夏頃にごく小さな緑色の花を咲かせ、細い棒状の実を付けます。
茎葉の表面はトリコームと呼ばれるウロコ状の器官に覆われ、そこから水を取り込みます。株全体が銀白色に見えるのは、トリコームに覆われているからです。
栽培
水やりと風通しがポイントです。最も多い失敗は「水が足りていない」「風を通していない」の2つだと思われます。
ウスネオイデスはエアープランツの中でも水をほしがるほうで、乾燥を嫌います。春~秋の気温が高い時期はできれば毎日がよいのですが、最低でも2日に1回霧吹きなどで水を与えます。高温多湿時期は蒸れて茎葉が枯れ上がることがあるので、風通しを良くして湿気が溜まらないようにすることも大切です。
ウスネオイデスは、葉の太さが極細のものから太いものまで様々なタイプがあります。太いものは乾燥に強いですが蒸れやすく、細いものは乾燥に弱いですが蒸れにくいです。タイプに合わせて加減しましょう。
置き場所は直射日光を避けた明るい日陰が適しています。冬は霜に当てなければ屋外でも大丈夫です。低温下ではあまり水をほしがらないので、水やりの回数は減らしてかまいません。
(ヤサシイエンゲイ 小林昭二)
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