みなさんはどんなお正月をお過ごしになられましたか? 私は水戸の植物園で年末年始の休園中も植物の管理が必要なため、久しぶりの現場仕事に一日だけ従事しました。園内の状況を見回りながら管理が必要な植物に水をやり、温室は時間によって管理温度が変わるので窓を開けたり閉めたりする作業は、しばらく現場を離れていた身には新鮮でとても楽しい時間でした。
植物の変化というのはとても地味で、小さな葉や花の芽が出たりひっそりと伸びていたりと、常に観察を続けることでしか気づくことができない程度のものです。私の恩師の一人が「植物は見るものではなく看るものだよ」と言っていたのを思い出します。“小さい変化を見逃さないように常に看る”が、2023年の私の目標です。
変化といえば、雪が降るか水が凍るかという寒さで植物には過酷な時期ですが、今の時期から活発に活動する植物もいます。12月の中旬から下旬にかけてのみ園芸店で見かける福寿草もその一つです。縁起物として飾られるために年の瀬に販売される植物ですが、人工的に開花調整された株なので12月から1月に花を楽しむことができます。本来の開花時期は2月から3月にかけてです。
実は販売されているときの福寿草は長い根を切り詰めて鉢に押し込まれています。花が終わった後に萎びて枯れてしまうのが多いのもそのためです。せっかく購入したのだからかんたんに捨ててしまうのも可哀想です。3から4芽がまとめられて鉢に入っていますが、植え込み用土は鹿沼土を単品で使っていることが多く、乾燥させないようにこまめに水を与えていると1芽くらいは発根します。置き場所は霜が降りず雪の積もらない場所がよいでしょう。新しい根が出たあとに新しい葉も出れば大成功です。寒さが和らいだら庭の落葉樹の下などの水はけがよく有機質が多い場所へ定植しましょう。先述のとおり、とても根が長くなるので植替えはしないつもりで管理してください。
明るい黄色の花がぽっかりと咲くさまは、初日の出が昇った様子のようで明るい気持ちになれます。別名は元日草。庭先に太陽をどうぞ。
(水戸市植物公園 宮内元子)