山や雑木林でよく見る常緑性のつる性低木で、キイチゴの一種「フユイチゴ」。秋に白い花を咲かせて、その名のとおり真冬に果実が熟します。湿り気のある沢に近い場所や木陰などで見かけます。山道の縁など目に付きやすい場所で茂っていることもあります。美しい果実と光沢のある葉っぱ、冬にこそ見てほしいフユイチゴを紹介します。
枝葉は地面を覆うように広がります。キイチゴの仲間は、茎にトゲがたくさん生えている種が多いのですが、その中でもフユイチゴはトゲは少なく、毛はたくさん生えています。
葉は円形に近く、縁は細かいギザギザになっています。表は濃緑色で光沢があり、ごわごわというか、ややざらついています。
裏は白っぽくて、葉脈が浮き出ています。細かい毛が生えており柔らかいです。私はこの葉裏のさわり心地がなんとなく好きです。発見されたら表と裏のさわり心地の違いをお試しください。
果実は小さな粒々がひとかたまりになっています(※1)。大きさは直径1cmくらいです。小さな果実ですが光沢と透明感のあるルビー色でとても美しいです。冬にこんなに鮮やかな色の実を付けるのも素敵ですよね。
果実は酸味があり、風味や香りは感じません(※2)。粒々の中には1つずつタネが入っており、プチプチじゃりじゃりとした食感です。
冬の屋外は植物の彩りが少なくなる季節です。でも、探すとフユイチゴのように鮮やかな色の果実を付けている植物もあります。皆さんも冬を彩る植物、探してみませんか?
※1 専門的に粒々を「核果」、粒々が集まったひとかたまりを「集合果」といいます。
※2 味は生育環境や個体、採るタイミングなどで違いがあるかもしれません。
(ヤサシイエンゲイ 小林昭二)
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