ランの栽培と選び方の基本
1月から3月にかけては、各地で大小さまざまな規模の洋ラン展が開催されます。丹精込めて栽培された美しい花々の展示に加え、ランの業者による即売ブースも賑わいをみせています。
さて、ランの栽培が難しいと思っている方は多いのではないでしょうか。確かに、寒さが苦手で暑さも苦手、日本の気候では充分に育てられず、花が咲きにくいものもあります。その一方、気軽につきあえるランもたくさんあります。選び方や育て方がわかない、そんな皆様に、大切な2つのポイントをお教えします。
それは、「冬越し」と「遮光」の2つです。水や肥料も当然大切ですが、ランは一般的な草花と少し勝手が異なります。この2つのポイントで、自分の家庭環境で育てられるランがわかります。
「冬越し」ーどれくらいの寒さに耐えられるか?
ランは寒さに弱いものが多いですが、耐寒性は種類によって大きく異なります。3℃でもぴんぴんしている種類もあれば、10℃を切ると株が傷んで枯れてしまう種類もあります。冬は基本的に室内に置きますが、自分の栽培している環境の最低気温がどの程度なのか、よく把握しておきましょう。温度が足りないとあきらめずに、保温のために色々するのも栽培の醍醐味です。私も栽培している株が少なかった頃は、夜間だけ段ボールをかぶせたり新聞紙で包んだりしたものです。ちょっとした工夫で温度はずいぶん違ってきます。
はっきりした根拠はありませんが、寝起きしている部屋に置くのが一番効果があったように記憶しています。人がいる部屋の方が、室温がちょっと高いから、でしょうか。
「遮光」ーどれくらい強い日差しに耐えられるか
ランは強い日射しに当てると、葉が部分的に枯れてしまう「葉焼け」を起こしやすいです。特に夏は直射日光下に晒すと、日光の当たった箇所とその周辺が見事に焼けてしまいます。
しかし葉焼けを起こすと、生育が著しく悪くなりますし、何より栽培している本人のやる気もすごく下がります。葉焼けを起こした場所は枯れてしまっているので、元には戻りませんから。その株の葉焼けの箇所を見るたびに、辛い記憶が蘇ります。
そんな葉焼けを防ぐために行うのが「遮光」です。遮光ネットを用いて調光したり、直射日光の当たる場所を避けたり等があげられます。
「遮光」にはもうひとつ、高温を緩和する役割もあります。気温が高すぎると植物はバテてしまいますが、陰を作ると多少気温が下がって、バテずに過ごしやすくなるようです。冬越し同様、ランの種類によってどのくらいの日射しや高温に耐えられるかは異なります。
しかし、日照不足になるとは生育や花つきは悪くなるので、暗すぎるのも考え物です。さほど難しく考える必要はなく、夏は明るい日陰に置く、程度のちょっとしたことで多くのランは葉焼けせず元気に育ちます。
最後に
「冬越し」「遮光」おわかりいただけたでしょうか? 栽培のポイントでもありますし、選ぶ際の基準にもなります。育ててみたいランを見つけたら、「冬はどれくらいの気温が必要で、夏はどのくらい遮光すれば良いか?」といった風に業者さんに尋ねると良いかもしれません。その答で、自分に育てられそうか手に余るかを判断しましょう。
(ヤサシイエンゲイ 小林昭二)
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