植物図鑑
マンリョウ
ヤブコウジ属
マンリョウ
学名:
Ardisia crenata
〔基本情報〕常緑樹林内でみられる常緑小低木。
高さ30~100cmほどで茎は直立して、上部で枝分かれします。
葉は互生する単葉で、長さ7~15cm、幅2~4cmの長楕円形で先がとがり、縁には波状の歯牙があります。
葉は両面とも無毛で、表面にはやや光沢があり、質が厚く、赤褐色をおびた濃緑色です。
葉には小さな明点と黒褐色の細点があり、乾くとこれらはやや突出して残ります。
葉柄は長さ8~12mmです。
葉腋から散形~散房花序を出します。
花は径8mmほどで白色、花冠は5裂して先が反り返ります。
果実は径6~8mmで球形、赤く熟します。
〔来歴〕冬にも葉が青々としていて、冬に赤い実をつけることから、古くから縁起のよい植物として庭などに植え、正月の床飾りや生け花などにされます。
古典園芸植物のひとつで、江戸時代には葉の変化や果実の色の違いなど多くの園芸品種がつくられました。
明治~昭和初期にも栽培のブームがありました。
現存する園芸品種は80品種ほどとされます。
〔利用〕根を生薬で朱砂根といい、薬用にされます。
〔栽培〕増殖は実生、挿木によります。
実生の場合は完熟した果実から果肉を完全に取り除き、種子だけにして取り播きとします。
明るい日陰で水はけがよく適度に湿った肥沃な土壌で、強風があたらない場所が適します。
冬は寒風が当たらないようにし、寒冷地では防寒します。
鉢植えの場合は土の表面が乾いたら水を与えます。
庭植えの場合は極端に乾燥しないかぎり水やりは必要ありません。
多湿になると根腐れをおこします。
施肥は特に必要ありません。
大きくなりすぎると幹ばかり目立って間延びした印象になるので、適当な高さで取木をして仕立て直すとよいです。
取木は初夏に樹皮を環状に剥ぎ、十分湿らせた水苔を巻いてビニールで包み、発根を促します。
発根後、鉢に植えつけます。
病虫害としてはカイガラムシがあります。
〔備考〕ヤブコウジ(十両)やセンリョウ(千両)とくらべ、実も葉も大きいので万両の名がつきました。