今年はいいお天気続きで素晴らしい年明けでしたね。
そんななか4日は、仕入れ先の大田市場の初市でした。
毎年恒例、私が初市で楽しみにしているのが宝船です。宝船というと、皆さんは七福神と米俵や宝物の乗った帆船を思い浮かべられることでしょう。しかし、初市で私たち花屋が目にするのは、すべて植物でできた宝船です。
宝船は、毎年大田花きの生産者の会である「親和会」の皆さんが作られています。
今年は大黒丸と恵比寿丸、弁天丸の三隻が競りにかけられました。
大黒さまはヒンドゥー教のシヴァ神の化身のマハーカーラ(摩訶迦羅)であり、食物、財福を司る神様として広く親しまれています。恵比寿さまは七福神の中で唯一の日本生まれの神様で、もともとは漁業の神様です。商売繁盛や五穀豊穣のご利益をもたらしてくれます。そして、弁天さまは七福神の中で唯一の女神、弁才天であり、元はインドのサラスバティという川の女神です。貧困を救い財物を与える天女様だそうです。
さて、それぞれの宝船に積まれているのはどんな花でしょう。
船の部分は赤芽柳でできています。一番上は竹に金の柳と紅白南天、お飾りがついています。船首には俵ともち、獅子柚子、稲穂が乗せられています。このほか枝ものはロウバイ、松、椿、ハクレン、梅などが使われています。
白と黄色の菊のほか、洋菊、洋花はユリ、キンギョソウ、アルストロメリア、ストック、デルフィニウム、グロリオサ、バラ、シンビジウム、カラーなどが船からあふれんばかりに積まれています。どの花も縁起のよさそうなイメージの花ばかりです。
しかし、宝船は簡単に買えるようなお値段ではないので、さすがに競り落とすことは叶いませんが、見るだけでもご利益があるような気がします。今年も仲卸さんが競り落とし、お店の前に飾られていました。
私が初市で仕入れたお花は小さな可憐なお花が多めでした。春の球根が出始めると可愛くて全部連れ帰りたい、という衝動に駆られます。この時期のお花はもちもよく、香りのある花が多いので、機会があったら、ぜひ花屋をのぞいてみてくださいね。
今年も、市場で見つけた珍しいお花、簡単なお花の生け方など、紹介していけたらと思っています。
どうぞよろしくお願いします。
(高橋植物園 高橋さやか)
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