ノゲシ・オニノゲシ・ノボロギクの違いと見分け方
—よく似た黄色い野の花—
道端や空き地で、タンポポを大ぶりにしたような黄色い花をつける野草。ノゲシ、オニノゲシ、少し小ぶりのノボロギク——名前も姿もよく似ていて、入れ替わりがちです。さらに秋には花色の淡いアキノノゲシも。エバーグリーンの観察記事・植物図鑑・Q&Aをもとに、現場で使える見分けの決め手を整理します。
まず「仲間(属)」を押さえる
この4種は、じつは3つの異なる属に分かれます。ここを押さえると見分けが一気に楽になります。
- ノゲシ(Sonchus oleraceus)とオニノゲシ(Sonchus asper)は、同じキク科ノゲシ属。図鑑でも互いに「良く似た植物」と明記される、いちばん紛らわしい組み合わせです。
- ノボロギク(Senecio vulgaris)はキク科ノボロギク属で、別の属です。
- アキノノゲシ(Pterocypsela indica)は、さらに別のPterocypsela属。エバーグリーンの観察記事は、この違いを踏まえて呼び分けを説明しています。
アキノノゲシと区別するため、ノゲシのことをハルノノゲシとも呼びます。アキノノゲシはキク科Pterocypsela属、ノゲシはキク科ノゲシ属で同じ仲間ではありません。 — エバーグリーンポスト「[ノゲシ]ノゲシの観察」
いちばん紛らわしい「ノゲシ」と「オニノゲシ」
まずは最難関、同じノゲシ属の2種から。エバーグリーンの観察記事「ノゲシの観察」が、実地の見分け方を具体的に書いています。決め手は次の3つです。
① 葉を触った感じ(トゲ)
いちばん手っ取り早いのが、葉に触れてみることです。
葉っぱは縁がトゲ状になっていますが、軟らかいので触っても痛くありません。これがオニノゲシ(後述)ならかなり痛いです。……二種をどう見分ければよいのか……そうです! 葉を掴んで痛かったらオニノゲシです!(笑) — エバーグリーンポスト「ノゲシの観察」
半分は冗談ですが、あながち外れてもいません。オニノゲシは葉に厚みと光沢があり、縁のギザギザ(歯牙)の先が鋭い刺になって、触るとチクチク痛みます。ノゲシの葉はやわらかく、縁はギザギザでも刺さりません。
② 葉の付け根(茎の抱き方)
確実なのは、葉が茎につく「付け根」の形です。
オニノゲシは茎と葉の基部が完全にくっついていて、後方にまるく張り出します。それに対してノゲシは葉の基部が完全にくっついてなくて、三角形に張り出します。……観察するなら茎の上部の葉がよいです。なぜなら大きく張り出すことが多いからです。 — エバーグリーンポスト「ノゲシの観察」
つまり付け根がまるく張り出すのがオニノゲシ、三角にとがって張り出すのがノゲシ。観察するなら、大きく張り出しやすい茎の上部の葉を見るのがコツです。「ノゲシの観察」には、この付き方の違いを並べて示した図もあります。
相模原市立博物館の職員ブログも、実際に並んだ株を観察して「(オニノゲシは)葉の基部が丸く茎を抱き、縁の刺がとても鋭い」「(ノゲシは)葉の基部が細長く伸びて茎を抱いている」と、同じ見どころを挙げています。
③ 大きさと全体の雰囲気
ノゲシは高さ50〜100cm、オニノゲシは1〜2mと、オニノゲシのほうが大型に育ちやすく、葉も厚くていかつい印象です。名前の「オニ(鬼)」も、この刺々しさと大きさに由来します。なお、ノゲシの葉は秋から冬にかけて赤みを帯びることがあり、寒い時期の見分けのヒントになります(あきた森づくり活動サポートセンター)。花はどちらも径2cmほどで、タンポポのように舌状花が開く黄色い頭花です。
| 見分けの決め手 | ノゲシ | オニノゲシ |
|---|---|---|
| 葉ざわり・トゲ | やわらかく、触っても痛くない | 厚く光沢があり、縁の刺が鋭く痛い |
| 葉の付け根(茎の抱き方) | 三角にとがって張り出す | まるく張り出して茎を抱く |
| 背の高さ | 50〜100cm | 1〜2m |
| 葉の紅葉 | 秋〜冬に赤みを帯びることがある | — |
時期はずれ・雑種で迷ったら「種子」で確かめる
やっかいなのは、秋の終わりなど時期はずれに咲く株です。典型的な特徴が出そろわず、しかもノゲシとオニノゲシには「アイノゲシ」という雑種も知られています。エバーグリーンのQ&Aでも、専門家がこう答えています。
ノゲシとノボロギクは似ている面もありますが、属が違いますから、かなり違いますが、ノゲシとオニノゲシは同じ属で兄弟ですから、よく似ていますし、雑種もあります。 — エバーグリーンQ&A 専門家回答(投稿#1573)
そんなときに確実なのが種子(果実)です。相模原市立博物館の職員ブログは、迷った株を持ち帰って種子を確認した観察を紹介しています。それによると、オニノゲシの種子は縦縞のみ、ノゲシの種子は縦縞に細かい横縞が入るのが特徴とのこと。葉や姿で決めきれないときは、綿毛の下の小さな種を見るのが最後の決め手になります。
「ノボロギク」は花を見れば一発
ノボロギクは別属(ノボロギク属)で、見分けは花が決め手です。ノゲシ類の花がタンポポのように花びら(舌状花)を開くのに対し、ノボロギクの頭花は筒状花だけからなり、黄色い筒が集まったまま花びらが開きません。しかも頭花はずっと小さく——
ノボロギクは頭花がせいぜい直径5mmくらいと小さく、1cmを超えるノゲシよりずっと小さくなります。さらに環境によりますが、ノボロギクの方が頭花がたくさん密につきます。 — エバーグリーンQ&A 専門家回答(投稿#1573)
総苞(花のつけ根の緑の部分)の下に先端が黒い小さな苞があるのも目印です。背丈も50cmほどと小柄で、ほぼ一年中花を見かけます。「花びらの開かない小さな黄色い花が、こんもり密につく」ならノボロギク、と覚えておくと確実です。
秋に紛れる「アキノノゲシ」
名前はノゲシ類によく似ますが、これも別属(Pterocypsela属)です。花は白〜淡い黄色で上向きに咲き、花の裏側が紫を帯びるのが特徴。咲くのは主に8〜11月の秋です。黄色い花を春から夏に咲かせるノゲシ・オニノゲシとは、花色と季節で見分けられます。草丈は0.6〜2mになります。
早見表(4種の見分け)
| 種 | 属 | 見分けの決め手 | 花期 |
|---|---|---|---|
| ノゲシ | ノゲシ属 | 葉はやわらかく、付け根は三角に張り出す。種子は縦縞+細かい横縞。50〜100cm | 4〜7月(ほぼ通年) |
| オニノゲシ | ノゲシ属 | 葉は厚く光沢、縁の刺が痛い。付け根はまるく張り出す。種子は縦縞のみ。1〜2m | 4〜7月 |
| ノボロギク | ノボロギク属 | 花びらが開かず筒状花だけ。頭花は直径5mmほどと小さい。〜50cm | ほぼ通年 |
| アキノノゲシ | Pterocypsela属 | 花は白〜淡黄で上向き、裏が紫。秋咲き。大型 | 8〜11月(秋) |
まとめると、触って痛ければオニノゲシ、やわらかければノゲシ。付け根がまるいのがオニ、三角がノゲシ。花びらが開かない小さな黄花はノボロギク。秋に咲く白っぽい花はアキノノゲシ。迷ったら種子まで見れば、たいてい決着します。
もっと詳しい観察記録は
→ エバーグリーンポスト「[ノゲシ]ノゲシの観察|キク科ノゲシ属」
→ 図鑑で「ノゲシ」の詳細を見る
参考資料
- エバーグリーンポスト「[ノゲシ]ノゲシの観察|キク科ノゲシ属」https://love-evergreen.com/evergreenpost/post/11608
- エバーグリーンQ&A 投稿#1573https://love-evergreen.com/qa/topic/1573.html
- エバーグリーン植物図鑑「ノゲシ」https://love-evergreen.com/zukan/plant/15016.html
- エバーグリーン植物図鑑「オニノゲシ」https://love-evergreen.com/zukan/plant/15012.html
- エバーグリーン植物図鑑「ノボロギク」https://love-evergreen.com/zukan/plant/14974.html
- エバーグリーン植物図鑑「アキノノゲシ」https://love-evergreen.com/zukan/plant/14864.html
- 相模原市立博物館 職員ブログ「ノゲシとオニノゲシ」https://www.sagami-portal.com/city/scmblog/archives/16681
- あきた森づくり活動サポートセンター「山野の花シリーズ121 オニノゲシ、ノゲシ」https://www.forest-akita.jp/data/sanya-hana/121-oni/oni.html



