鳥が運ぶ中国原産の常緑高木
—トウネズミモチ、葉脈が透ける見分けポイント—
公園や街路で見上げるほどの緑の樹冠、初夏に房状に広がる白い小花、秋から冬にかけて黒紫色に熟す果実——トウネズミモチは、中国原産のモクセイ科イボタノキ属に属する常緑高木です。丈夫で日陰にも耐え、刈込みにも強いことから公園・庭園に広く植えられています。一方で、鳥が実を運ぶことで各地に広がっています。
基本データ
図鑑の登録情報をもとに基本的な特徴をまとめます。
| 科 / 属 | モクセイ科 / イボタノキ属 |
|---|---|
| 生活型 | 常緑高木 |
| 樹高 | 約25m |
| 花期 | 5〜7月 |
| 花色 | 白 |
| 果実 | 長さ7〜10mm、卵状楕円形、黒紫色に熟す |
| 原産地 | 中国 |
| 用途 | 公園・庭園 |
形態の特徴——葉・花・果実
葉は対生する単葉で、長さ6〜17cm、幅3〜8cmの卵状楕円形、縁は全縁です。葉脈には葉の中央を縦に走る主脈と、そこから左右に枝分かれして葉の縁に向かう細い脈(側脈)があります。図鑑の備考欄には、近縁種との見分けポイントとして「葉を陽に透かすと側脈がはっきりと透けて見える」と記されています。エバーグリーンのQ&Aでも、この葉脈の透け方が同定の決め手として取り上げられています。
葉脈がはっきり確認できるので、トウネズミモチですね。 — エバーグリーンQ&A 専門家回答(2023年7月、質問#24125)
花は枝先に長さ8〜20cm、幅8〜25cmの集散円錐花序をつくり、多数の小さな白花が密に咲きます。花は長さ3〜4mmで花冠は4裂します。果実は長さ7〜10mm、幅4〜6mmの卵状楕円形で、黒紫色に熟します。
実が丸く、ついている量も多いので、トウネズミモチですね。 — エバーグリーンQ&A 専門家回答(2022年12月、質問#23609)
ネズミモチとの見分け方
トウネズミモチは、同じイボタノキ属のネズミモチとよく似ており、Q&Aでも混同の相談が寄せられます。図鑑の備考欄には、両者を区別する特徴が次のように整理されています。
- トウネズミモチはネズミモチより丈が高く(最大約25m)、葉や花序が大きい
- 葉の質が薄く、葉先が細長くとがる
- 葉を陽に透かすと側脈がはっきり透けて見える(ネズミモチでは不明瞭)
図鑑データで比較すると、ネズミモチの樹高は2〜3m、花期は6月のみと登録されているのに対し、トウネズミモチは樹高約25m、花期は5〜7月と大きく異なります。
同属の主な種との比較
エバーグリーンに登録されているイボタノキ属の種のうち、データが揃っているものを並べます。
| 種名 | 樹高 | 花期 | 用途 |
|---|---|---|---|
| トウネズミモチ | 約25m | 5〜7月 | 公園・庭園 |
| ネズミモチ | 2〜3m | 6月 | 盆栽・生垣・公園庭園 |
| イボタノキ | 2〜4m | 5〜6月 | 生垣・公園庭園 |
| コミノネズミモチ | 約3m | 5〜6月 | 盆栽・鉢植・生垣・公園庭園 |
同属の中でトウネズミモチは樹高が群を抜いて大きく、高木として独自の存在感を持ちます。
鳥による拡散
黒紫色の果実は鳥に好まれ、種子が遠方へ運ばれて広がります。エバーグリーンのQ&Aで専門家がこう述べています。
トウネズミモチですね。鳥が実を食べて拡散するので、近年あちこちで蔓延って大変ですね。 — エバーグリーンQ&A 専門家回答(2022年6月、質問#23047)
利用——薬用とイボタ蝋
図鑑の「利用」欄には、果実を強壮剤として薬用にすると登録されています。また、しばしばイボタカイガラムシというカイガラムシがつき、この虫が分泌する蝋(イボタ蝋)もワックスや薬用に利用されます。
栽培のポイント
図鑑の「栽培」欄に登録された情報をもとにまとめます。
増殖:実生と挿木によります。
置き場所・土質:日当たりと水はけのよいやや湿った場所を好みますが、土質は特に選びません。日陰にも耐え、丈夫で容易に育ちます。
水やり:真夏に晴天が続いてひどく乾燥しないかぎりは、特に必要ありません。
施肥:特に必要ありませんが、葉の色が悪くなった場合は寒肥として緩効性化成肥料を施します。
剪定・刈込:刈込によく耐えます。
病虫害:斑紋病、イボタカイガラムシなどに注意します。
→ 図鑑で「トウネズミモチ」の詳細を見る
https://love-evergreen.com/zukan/plant/12979.html