植物図鑑
コウヤマキ
コウヤマキ属
コウヤマキ
学名:
Sciadopitys verticillata
〔基本情報〕
山地の険しい尾根や岩場でみられる高さ30~40m、幹径1mになる常緑針葉高木。
枝には長枝と短枝の区別があります。
長枝には長さ2mmほどで褐色の鱗片葉がらせん状につきます。
短枝は長枝の節に多数輪生して、その先に葉が1個ずつつくので、枝に葉が輪生しているように見えます。
葉は長さ6~12cm、幅0.2~0.4cmの線形で、1個の葉に見えますが、2個の葉が裏返しになり側面で合着したもので、表面に見える側が本来の裏面になります。
葉の合着した部分は縦にくぼんだ溝になり、裏側の溝には白色の気孔帯があります。
花には雄花と雌花があり、雄花は長枝の先端につき、多数の雄しべが長さ7㎜の楕円形にあつまり、さらにその雄花が20~30個、長さ4cmの頭状に集まります。
雌花は長枝の先に1~2個つきます。
果実は長さ6~12cm、径4~6cmの円筒状楕円形になる球果で、翌年の秋に熟します。
球果には扇形の種鱗がらせん状につき、それぞれの内側に、種子が7~9個つきます。
種子には両側に狭い翼があります。
〔来歴〕
高野の六木のひとつとして高野山で保護され、木曽五木のひとつとして尾張藩によって保護されてきました。
皇族の秋篠宮家悠仁親王のお印です。
〔利用〕
世界三大公園樹のひとつです。
材は水湿に強いため、船材や風呂桶にされるほか、樹皮を舟や桶などの水漏れを防ぐ槙肌に利用します。
碁盤や将棋盤、杭などの材料にもなります。
〔栽培〕
増殖は実生、挿木によります。
北海道南部から九州中部まで植栽できます。
日当たりと水はけのよい肥沃な土壌を好みますが、株元に強い日射しがあたることや強い西日は嫌います。
潮風と寒風に弱いです。
乾燥する痩せ地では株が弱ります。
耐陰性が強く、特に幼苗で顕著です。
幼苗期には生長がおそく、10年目ごろからよく伸びるようになります。
移植を嫌い、特に成木での移植は困難です。
水やりは鉢植えの場合は土の表面が乾いたらたっぷりと与え、地植えの場合は晴天が続いてひどく乾燥しないかぎりは降雨にまかせます。
施肥は寒肥として有機質の肥料を施します。
強剪定はせず、伸びすぎた枝など不要な枝を除く程度にするのがよいです。
病虫害は特にありません。