植物図鑑
セイヨウノコギリソウ
ノコギリソウ属
セイヨウノコギリソウ
学名:
Achillea millefolium
〔基本情報〕薬用植物として古くから栽培される高さ60~80cmほどの多年草。
原産地では空地や道端などにふつうにみられます。
地下茎を広げてよく茂ります。
葉は互生し、長さ5~20cm、2~3回羽状に細裂します。
茎先に散房状の花序を出し、白~淡紅色の小さな頭花を多数密につけます。
一つの頭花に5個の舌状花がつきます。
〔来歴〕古くから薬草として知られ、古代ギリシャの英雄アキレスがこの効能を説いたとされます。
中世ヨーロッパでは邪鬼を祓う魔力があるとされ、結婚式の花束や、恋占いなどにも使われていました。
日本には1887年(明治20年)に観賞用として渡来しましたが、繁殖力が強いため一部で野生化しています。
〔利用〕全草に強壮、健胃、発汗、解熱作用などがあります。
また、葉を火傷や切り傷、歯痛などに用います。
ハーブティーとしても利用されます。
若葉はサラダとして生で食べたり、ゆでて食べることもあります。
軽やかな風味があり、大きくなると辛みが増し胡椒の風味が出る。
刻んでサラダに加えられる。
また、ほうれん草のように茹でて食べることもある。
乾燥して粉にしたものをタバコの代用品にすることもありました。
スウェーデンではビールの醸造に利用されました。
〔栽培〕増殖は実生や株分け、挿芽によります。
日当たりと水はけがよい場所を好みます。
丈夫で、地下茎をのばして広がるため、庭植えの場合、増殖しすぎないようにするには地下に枠をつくる方がよいです。
鉢植えの場合は土の表面が乾いたら水を与えます。
肥料は特に必要ありません。
高温多湿に弱いため、風通しはよくしておきます。
病虫害としてはアブラムシやうどんこ病、灰色かび病などがあります。
枝が混みあうと蒸れて病気が発生することがあります。
〔備考〕葉の形をノコギリに例えた名です。