植物図鑑
ヤブコウジ
ヤブコウジ属
ヤブコウジ
学名:
Ardisia japonica var. japonica
〔基本情報〕丘陵地の林内でみられる常緑小低木。
葉をつけない長い匍匐茎があります。
高さ10~30cmほどで茎は直立して、枝分かれはしません。
葉は茎の上部2節ほどに輪生状に互生する単葉で、長さ6~13cm、幅2~5cmの楕円形で先がとがり、縁には低い鋸歯があります。
葉は両面ともほとんど無毛か裏面の主脈にのみ細かい軟毛があります。
葉柄は長さ7~13mmです。
葉腋または鱗片葉の腋から散形花序を出し、2~5個の花を下向きにつけます。
花は径6~8mmほどで白色~紅色を帯びた白色、花冠は5裂します。
果実は径5~6mmで球形、赤く熟します。
〔来歴〕冬にも葉が青々としていて、冬に赤い実をつけることから、古くから縁起のよい植物として正月の床飾りにされます。
『万葉集』に山橘(やまたちばな)の名で詠まれています。
古典園芸植物のひとつで、江戸時代には葉の変化や果実の色の違いなど多くの園芸品種がつくられ、明治時代にもブームがきましたが、現存する園芸品種は多くはありません。
〔利用〕根茎は生薬で紫金牛といい、薬用とされます。
〔栽培〕増殖は実生、挿木によります。
実生の場合は完熟した果実から果肉を完全に取り除き、種子だけにして取り播きとします。
明るい日陰~日陰で水はけがよく適度に湿った肥沃な土壌で、強風があたらない場所が適します。
冬は寒風が当たらないようにします。
鉢植えの場合は土の表面が乾いたら水を与えます。
庭植えの場合は極端に乾燥しないかぎり水やりは必要ありません。
多湿になると根腐れをおこします。
施肥は特に必要ありません。
病虫害としてはアブラムシ、ハマキムシがあります。