こんにちは。編集部の愛垣です。九州は熊本から、大好きな自然をお届けします。
紅葉もしばらく前に終わり、世の中から色が少なくなっていく冬。ちょっと気が早いとおっしゃるかもしれませんが、春の使者とも言われるフキ(蕗:キク科フキ属の多年草)についてご紹介しましょう。
フキは地上に伸びる茎がありません。地上に出てくるのは、花(フキノトウ)と葉だけで、地下茎でつながり増えます。さらに、フキは雌雄異株です。フキノトウをよく見ると、小さな花が集まって見えるものと、ヒゲが生えているように見えるものがあります。小さな花が集まって見えるものが雄花で、ヒゲが生えているように見えるのが雌花です。雌花は、受粉後に花茎を伸ばしてたんぽぽのような綿毛のついた種子を飛ばすのです。
フキが好むのは、河川の土手や林の際など、水があり風があまり当たらない場所で、日本全国で見ることができます。しかし最近では、自生のフキが減ってきていると言われており、里山で群生している場合も、自生ではなく管理されていることも少なくないようです。特に、野菜売り場で見られるものはほとんど栽培されているもので、アクが少なく調理しやすいのが特徴です。
ちなみに、フキ独特の香りやほろ苦い味わいの成分はファイトケミカルです。フキにはポリフェノール類のファイトケミカルが多く含まれ抗酸化作用が期待できるといわれています。昔から、苦味のある山菜は、冬の間に溜まった老廃物を排出するのを助けてくれるといわれていました。それゆえ、フキが春の山菜として日本料理には欠かせないのは理にかなっているのです。
フキは、春、雪が溶けるころに花を咲かせます。そのため、春の使者とも言われ、フキの蕾であるフキノトウ(蕗の薹)は俳句において春の季語となっています。私の住む九州では、すでに花芽の準備が終わって春の準備は万端です。今年は暖冬のようですから、例年より早くフキノトウに出合えるかもしれませんね。
日々、仕事や生活に追われていると、もしかしたら季節の移り変わりを見逃しているかもしれません。たまには空を見上げたり、足元に目を留めたりしてみてはいかがですか。
寒い冬の中で、どんな春の兆しを探せるでしょうか?
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